外出禁止措置は11月29日まで再度延長もブエノスアイレス首都圏は緩和へ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年11月09日

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は11月6日、新型コロナウイルス感染拡大の影響により3月20日に発令した外出禁止措置を、11月29日まで再度延長する方針を発表した。同措置は、強制隔離措置を講じる地域(ASPO)とソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つ地域(DISPO)に分けられているが、ブエノスアイレス首都圏(AMBA、ブエノスアイレス市およびブエノスアイレス州周辺35都市で構成される地域)は、これまでのASPOからDISPOに移行するとした。

ASPOでは原則、身近な買い物目的以外の外出は認められていないものの、移動許可書の取得と、各州・市政府の決定による衛生プロトコル(手順書)を順守した上で、多くの経済活動が再開している。このため、今回DISPOの対象になるAMBAでの主な変更点は、市内での移動に許可書が必要とされないことだ。ただし、AMBAと他都市や他国をつなぐ公共交通機関サービスの利用は引き続き制限され、許可書も必要だ。

写真 満席でにぎわうブエノスアイレス市内の街角のカフェ(ジェトロ撮影)

満席でにぎわうブエノスアイレス市内の街角のカフェ(ジェトロ撮影)

11月7日付で公布された必要緊急大統領令(DNU)875/2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、DISPOで禁じられているのは、10人以上の文化・娯楽・宗教的イベントの開催、密閉空間での10人以上のあらゆる運動・スポーツの実施(AMBAでは人数問わず密閉空間では禁止)、人数問わず自宅などでの集会、映画館・劇場・文化センター、他都市や他国とつなぐ公共交通機関サービス。ASPOでは、文化・娯楽・スポーツ・宗教的イベントなど人数を問わず禁止。また、ショッピングセンター、映画館、劇場、文化センター、図書館、博物館、飲食店、ジムなど、人が集う場所の再開は認めない。また、他都市や他国とつなぐ公共交通機関サービスと観光も許可されていない。

写真 政府に反対するデモ行進が行われたブエノスアイレス市内(11月8日、ジェトロ撮影)

政府に反対するデモ行進が行われたブエノスアイレス市内(11月8日、ジェトロ撮影)

フェルナンデス大統領は、今回の決定は「感染者数の上昇カーブの平たん化が始まり、徐々に感染者数が減少する傾向がみられるため」と説明したが、「問題は解決していない」とも主張した。11月7日時点の保健省報告によると、全国の累計感染者数は123万6,851人、うち累計死者数は3万3,348人となっている。ブエノスアイレス市における1日の新規感染者数は394人、ブエノスアイレス州は2,161人と減少傾向にある。また、AMBAでの集中治療室(ICU)の占有率は59.6%にとどまっている。

大統領は、新型コロナワクチンについても述べ、ロシアが開発する「スプートニクV」を1,000万本と、米国製薬大手ファイザーのワクチン75万人分を12月下旬以降に調達できる可能性について説明した。そのほかにも、2021年3月には、英国製薬大手アストラゼネカのワクチン(2020年8月13日記事参照)が入手される予定で、「中国製のワクチンの調達も合意できている」と述べている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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