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議会がビスカラ大統領を罷免、メリーノ議長が新大統領に就任

(ペルー)

リマ発

2020年11月11日

ペルー議会は11月9日、マルティン・ビスカラ大統領に対する罷免決議を賛成多数で可決した(各政党の投票状況は添付資料表参照)。これを受けて、ビスカラ大統領は全閣僚とともに大統領府前で記者会見を開き、罷免措置への法的対抗措置を取らないことや、罷免理由となった収賄疑惑に関し自身の潔白を証明することを約束し、国民と自治体幹部、閣僚への感謝とともに退任を発表した。後任の大統領にはマヌエル・メリーノ・デ・ラマ議会議長が就任し、翌10日に就任宣誓式が行われた。憲法が規定する大統領職の継承順位1位は副大統領だが、ビスカラ政権で副大統領だったメルセデス・アラオス氏が2019年の議会解散(2019年10月4日記事参照)後に辞意を表明し(2020年5月に新議会が辞表を承認)、副大統領ポストが不在のため、順位2位の議会議長が大統領に就任したものだ。

今回の罷免決議案は、ビスカラ大統領がモケグア州知事時代(2011~2014年)に同州イロ県で発注したロマス・デ・イロ灌漑事業と、州都モケグア市のモケグア州立病院の建設に関わる贈収賄罪の嫌疑を発端としており、建設クラブ(Club de la Construcción)(注)に対する捜査の過程で明るみ出ることとなった。ビスカラ大統領は罷免決議案の投票に先立ち、嫌疑に対する答弁をするため議場に登壇し、「新型コロナ禍」の危機の中、今回の罷免決議案が嫌疑段階であるにもかかわらず提出されたことに対する懸念を表明した。加えて、大統領が罷免された場合の経済面へのマイナスの影響や、長年にわたって築き上げられた国の信用の崩壊の恐れにも言及し、前回の罷免決議案の否決(2020年9月24日記事参照)からわずか52日目に、確たる証拠がない状況で再び罷免決議を行った議会に疑問を呈した上で、あらためて自らの潔白を主張した。その後、議会は審議の末、投票に移り、最終的に賛成105票、反対19票、棄権4票で罷免決議を可決した。

大統領罷免を受け、輸出事業者協会(ADEX)やリマ商工会議所(CCL)、ペルー工業協会(SNI)、全国商工観光サービス会議所(PERUCAMARAS)、全国小規模零細企業組合プラットフォームなどは連名で声明を発表、新政権に対して2021年の大統領選を予定どおりに実施することに期待を寄せるとともに、国民に対しては冷静になるよう呼び掛けた。一方、議会周辺では10日未明から多くの国民がビスカラ大統領の罷免に対する抗議活動を起こし、国家警察隊との衝突が生じている。

調査会社IPSOSペルーによる10月の世論調査によると、メリーノ議長への支持率は22%で、ビスカラ大統領の54%を大きく下回っている上、議会自体への支持率も32%と低迷していた。大統領への嫌疑についても、78%は「任期を満了した後に捜査するべき」と回答し、「罷免し交代するべき」は20%にとどまっていた。国民による罷免決議に対する不満と議会への不信感が増す中、メリーノ新大統領による早期組閣が待たれる。

(注)ブラジル大手ゼネコンのオデブレヒトに対する贈賄事件(ラバジャット事件)の中で明るみに出た、約25社が参加していたと言われるペルー建設業界における談合グループの総称。同グループへの捜査の過程で行われた司法取引を通じ、企業側から今回の贈収賄に関する証言が出されたとされている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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