新型コロナ対策の運転資金ローン、貿易業への割当を拡大
(バングラデシュ)
ダッカ発
2020年11月20日
バングラデシュ中央銀行は10月28日、新型コロナウイルスに係る経済対策として、2020年4月から運用している中堅・中小零細企業向け運転資金ローン制度(2020年5月18日記事参照)を一部修正する旨の通達を発表した(添付資料参照)。
従来、業種別に割り当られるローン金額の上限は、製造業がローン総額の50%、サービス業30%、貿易業20%とされていた。本通達により、貿易業への割当上限が30%に拡大された(注)。その背景として、貿易会社などから同ローンの割当拡大の要望があったことが挙げられている。
政府は、同ローン制度を含む経済対策の適用対象について、経済特区(EZ)や輸出加工区(EPZ)、ハイテクパークの外資系企業(合弁を含む)にも拡大する(2020年10月6日記事参照)など、経済対策の利用拡大を図っているが、72%の企業はいまだ経済対策の恩恵を受けていないと、の報道もある。また、回復傾向にあった輸出額が10月単月では再び減少傾向に転じていること(2020年11月10日記事参照)からも、今後、貿易会社の資金需要に応えていくことは重要とみられる。
バングラデシュで約10年にわたり衣料品の貿易業などを営む、44TT N.A.O JAPAN社長の持田成彦氏は「本ローン制度は比較的低金利のため、当社を含め利用ニーズは高いと考える。一方で当地の銀行にとっては、外国企業は担保が十分でないことが最大の課題で、加えて融資に係る銀行の審査能力が不十分。そのため、通常の融資より条件のよい本制度でさえ、融資の実行は難しいのが実情と考えられる」という。また、持田氏は、その1つの打開策として、「日本の政策金融公庫や各都道府県にある信用保証協会のように、企業の事業計画を正確かつ迅速に審査し、ローン提供をバックアップする機関を当地にも設立することが必要だろう」と、今後の金融機関および金融制度の改善に期待を寄せる。
(注)政府通達によると、貿易業へのローン供与額が総額の20%を超えた場合、製造業、サービス業の割当率を調整する、ことになっている。
(山田和則)
(バングラデシュ)
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