「自由で開かれたインド太平洋」実現へ協力確認

(ASEAN、日本)

ジャカルタ発

2020年11月16日

第23回日ASEAN首脳会議が11月12日、オンラインで開催された。会議に出席した菅義偉首相は新型コロナウイルス禍の中での日本の対ASEAN協力や南シナ海問題に関する日本の立場を説明した。主要な成果として、ASEANのインド太平洋構想「ASEAN Outlook on the Indo-Pacific(AOIP)」(2019年6月28日記事参照)への協力に関する共同声明(和文骨子PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)英文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))が採択された。

首脳会議で、菅首相は「新型コロナ禍」を受けたASEANに対する協力として、ASEAN感染症センターの設立と「日ASEAN経済強靱(きょうじん)化アクションプラン」について発言した。ASEAN感染症センターは、4月のASEAN+3(日中韓)特別首脳会合で安倍晋三首相(当時)が設立を提言したもので(2020年4月16日記事参照)、今回の会合に合わせて、同センターの設立行事も実施された。日ASEAN経済強靱化アクションプランは、7月29日の日ASEAN経済担当相特別会合で実施に合意し、50を超える経済・産業協力に関するプロジェクトからなる(2020年8月4日記事参照)。ジェトロが事務局を務める日本企業とASEAN企業との協働によるデジタル技術を活用した実証事業(日ASEANにおけるアジアDX促進事業)も含まれる。

インド・太平洋における基本的原則を共有、協力深化を約束

ASEANのAOIPに対し、日本は「自由で開かれたインド太平洋外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」構想を掲げている。菅首相は会議で、両者が法の支配と開放性、自由、透明性、包摂性の基本原則を共有するものとして、AOIPを強く支持すると発言した。前述の共同声明では、AOIPの基礎を構成する国連海洋法条約やASEAN憲章などの国際法の尊重を強化することや、海上安全保障やASEANスマートシティネットワーク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのサポートなど、日ASEAN戦略的パートナーシップのさらなる強化などを盛り込んだ。また、ASEANの連結性については「日ASEAN連結性イニシアティブPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を立ち上げ、ASEAN諸国で実施中の約2兆円のインフラプロジェクトを中心に、陸海空の回廊による連結性を強化し、今後3年間で1000人の人材を育成していくことを表明した。

(上野渉)

(ASEAN、日本)

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