第34回ASEAN首脳会議が閉幕、独自のインド太平洋構想を採択

(ASEAN)

ジャカルタ発

2019年06月28日

第34回ASEAN首脳会議が6月20~23日、タイの首都バンコクで開催された。22日に行われたプレナリーセッションにおいて、ASEAN独自のインド太平洋構想「ASEAN Outlook on the Indo-Pacific」を、1年以上の交渉の末に採択した。採択文章には、インド太平洋地域を「隣接する領土」ではなく、「緊密に連結された地域」とし、当該地域ではASEANが「中心的で戦略的な役割を担う」と明記されている。

インド太平洋地域においては、各国が影響力を強めようとさまざまな構想を持つ。日本や米国などの「自由で開かれたインド太平洋構想」、インドの「アクト・イースト政策」、韓国の「新南方政策」、そして中国の「一帯一路」政策がある。米国の政策は中国の「一帯一路」政策の拡大を防ぐためとみる有識者が多い中、地元紙「コンパス」(6月24日)はインドネシアのレトノ・レスタリ・プリアンサリ・マルスディ外相の見解として、「(ASEANの)本構想は、ASEAN+3(注)など既存のメカニズムを活用しながら、ASEAN以外の国との協力を強化していくためのガイドラインとなる」とした。

ASEANの同構想はインドネシアが主導したもので、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は同セッションにおいて、「本構想はASEANの平和維持の原則を支持し、外国との対話や協力を強化するもの」と述べた。具体的な協力分野として、海洋・連結性・SDGs(持続可能な開発目標)・経済分野が挙げられている。原文はASEAN事務局のウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

海洋ごみによる環境問題への協力関係も確認

また、6月22日には「バンコク宣言」も採択され、海洋ごみによる環境問題への対応について、各国で協力していくことが確認された。具体的なアクションとしては、当該問題に対しての調査を強化し、科学的分析に基づいた政策立案を行うこと、人々の環境に対する意識の教育などによって高めていくことが明記されている。バンコク宣言の原文はこちらPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(注)ASEAN10カ国に、日本、中国、韓国の3カ国を加えた13カ国のこと。

(上野渉)

(ASEAN)

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