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欧州委、知財行動計画を発表、知財の共有化重視

(EU)

ブリュッセル発

2020年11月26日

欧州委員会は11月25日、「EUの復興とレジリエンスをサポートする知的財産行動計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と題する政策文書を発表した。経済活動でデータをはじめとする無形資産が占める割合が高まる中、あらゆる産業に影響を及ぼす知財保護制度を見直し、EU企業の国際競争力維持を図るのが目的。知財行動計画の策定は3月10日発表の「EU新産業政策」(2020年3月16日記事参照)で予定されていた。

欧州単一特許制度の早期発効も強調

行動計画の特徴は、知財保護制度の改善の柱として欧州単一特許(unitary patent)制度の早期発効を掲げたほか、知財のシェアリング(共有)を重視している点が挙げられる。

欧州単一特許制度は単一効特許と統一特許裁判所の創設からなり、スペインとクロアチアを除く25加盟国が参加。統一特許裁判所のドイツによる批准の遅れから発効が滞っていたが、2020年2月のドイツ連邦憲法裁判所の決定を受けて、批准に向けた国内手続きに入っている。欧州委は、EUの知財保護制度の第1の課題に不統一性と複雑性を挙げ、これを解消すべく単一特許制度の2021年中の施行を目指すとした。

知財のシェアリングについては、主に3つの観点からその重要性を指摘している。第1に、「新型コロナウイルス危機」を受けて、ワクチンやその他の不可欠な医薬品の開発など、危機への迅速な対応のために知財の共有の必要性が認識されている点。第2に、高度な技術に組み込まれる標準必須特許(国際規格などに適合するために利用が不可欠な特許)の数が増大し、こうした特許のライセンスが公平で合理的な手段で認められなければ、デジタル化社会の進展が阻害される恐れがあるという点。具体的には、コネクテッドカー開発での自動車業界と通信業界の間の標準必須特許をめぐる対立などを挙げた。第3に、2月19日発表の「欧州データ戦略」(2020年2月25日記事参照)に基づき、データへの公平なアクセスの確保と知財保護の適正なバランスの達成が求められているという点。この点では、営業秘密の保護に関する指令(指令2016/943)における営業秘密の定義などの明確化作業と、データベース指令(指令96/9/EC)の見直しを2021年第3四半期(7~9月)に行うとした。

「新型コロナ危機」に関連した知財関連の論点として、製薬業界の知財権保護と、患者の医薬品へのアクセスとの両立という課題が顕在化しており、知財行動計画と同日に発表された「製薬戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で取り上げられている。

(安田啓)

(EU)

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