第3四半期のGDP成長率は4.9%、消費の回復が寄与

(中国)

北京発

2020年10月26日

中国国家統計局の10月19日の発表によると、2020年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は4.9%と、プラス成長に回復した第2四半期(4~6月)から1.7ポイント上昇した(添付資料図参照)。第3四半期のGDP成長に対する需要項目別の寄与度は、総固定資本形成(投資)が2.6ポイント、最終消費支出(消費)が1.7ポイント、純輸出(外需)が0.6ポイントだった。新型コロナウイルスなどの影響で、前の2四半期は消費の寄与度がマイナスになっていたが、今期はプラスに転じた。

2020年1~9月の主要経済指標をみると、投資(全国固定資産投資、農業を含まない)は前年同期比0.8%増(1~6月は3.1%減)、うち、インフラ投資は0.2%増、民間投資は1.5%減となった。消費(社会消費品小売総額)は7.2%減と引き続きマイナスとなったものの下げ幅は縮小し、四半期ベースでは第3四半期に0.9%増とプラスに転じた。1~9月の消費のうち、インターネット上の実物商品小売額(注1)は15.3%増と引き続き2桁増となり、全体の24.3%を占めた。工業生産増加額(付加価値ベース)は1.2%増(1~6月は1.3%減)とプラスに転じた(注2、添付資料表参照)。

統計局の劉愛華報道官は今後の見通しについて、先行指標となる新規着工プロジェクトの計画投資額の増加や、国慶節の休暇期間中の旅客数が前年の約8割の水準まで回復したこと(2020年10月16日記事参照)などに需要の回復が示されていること、工業の設備稼働率が上昇するなど産業内循環の改善がみられること、PMI指数の上昇や企業の利益増加から企業マインドの好転などを挙げ、第4四半期(10~12月)も現在の経済の趨勢を維持する基礎や条件が備わっていると述べた。

中国政策科学研究会経済政策委員会の徐洪才副主任は第3四半期の4.9%という成長率について、予想と一致していたとし、第4四半期も現在のような回復の勢いが持続すれば、2020年通年では2.5%前後の成長を見込めるとした(「21世紀経済報道」10月20日)。一方、経済指標をみると、工業生産の回復が比較的早い一方、製造業の投資は1~9月で6.5%減と低迷していること、消費も回復しているもののコロナ以前と比べると低い水準にとどまっていることなど、経済の回復に不均衡が生じているとも指摘している(同、注3)。

(注1)インターネット小売額は、実物商品と非実物商品(バーチャル商品、サービス)の販売額に分かれており、非実物商品の販売額は社会消費品小売総額には含まれない。
(注2)2020年1~9月の貿易動向については2020年10月21日記事を参照。
(注3)2020年9月の消費の伸び率は前年同月比3.3%増と、2019年通年(前年比8.0%増)と比べると半分以下の伸びとなっている。

(小宮昇平)

(中国)

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