最終盤でバイデン氏が優位に保つ、米大統領選世論調査

(米国)

米州課

2020年10月29日

米国マサチューセッツ州のエマーソン大学は10月27日、11月3日に迫る大統領選挙に関する全米世論調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)を発表した。支持率で民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が50%と、共和党候補のドナルド・トランプ大統領(45%)に5ポイント差でリードする結果となった(注2)。バイデン氏のリードは、9月の前回調査(バイデン氏:48%、トランプ大統領:44%、2020年9月28日記事参照)から1ポイント伸びた。ただ、今回調査で「支持候補にかかわらず、大統領選で誰が勝利すると思うか」と聞いたところ、トランプ大統領が42%、バイデン氏が41%と、トランプ大統領勝利を予想する回答者がやや多かった。

回答者層別に支持率をみると、前回調査と同様、バイデン氏は都市部(バイデン氏:55%、トランプ大統領:42%)と郊外(54%、40%)の有権者の支持を集める一方、トランプ大統領は農村部(36%、59%)で盤石のリードを保つ。

大統領選で支持する候補を決めた時期については、75%が「1カ月以上前に決めた」と回答した。「この1カ月間」「この1週間」がそれぞれ11%で、「未定」は3%にとどまった。10月には、副大統領候補討論会(2020年10月9日記事参照)や第2回大統領候補討論会(2020年10月26日記事参照)が行われたほか、各候補は激戦州で積極的に遊説を行っているが、これらが有権者の考えに与えた影響は限定的であることがうかがえる。

今回調査でトランプ氏の大統領としての支持率では、「支持」が45%、「不支持」が51%だった。大統領選で最も重視する争点では、「経済」が31%で最多で、次いで「新型コロナウイルス対応」(22%)、「社会的正義」(15%)、「ヘルスケア」(11%)、「気候変動問題」(9%)、「最高裁判所判事指名」(3%)だった。支持候補別にみると、トランプ大統領支持者は経済を重視する割合(53%)が最も高かったが、バイデン氏支持者は新型コロナウイルス対応を最も重視するとしている(30%)。

投票状況について聞いたところ、「既に投票した」が45%に上った。「選挙日に投票する」は33%、「郵便投票または早期投票(注3)する」は22%だった。

今回の大統領選では選挙日前に投票する有権者が記録的な数になっている。「ワシントン・ポスト」紙電子版(10月28日)によると、10月28日までに、2016年の総投票者数(1億3,900万人)の53%に相当する7,330万人が郵便投票や早期投票で既に投票を済ませている。

(注1)調査実施時期は10月25~26日。対象者は全米の有権者1,121人。

(注2)リアル・クリア・ポリティクスの10月21~27日の全米世論調査平均値では、バイデン氏の支持率は51.1%、トランプ大統領は43.6%と、バイデン氏が7.5ポイント差でリードしている。

(注3)実施されない州もあるが、選挙日前の早期に公共の場で投票できる制度。

(甲斐野裕之)

(米国)

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