通関手続き簡素化、輸送インフラ整備でウズベキスタン物流事情は大幅改善、ジェトロがウェビナー

(ウズベキスタン、ロシア、CIS)

欧州ロシアCIS課

2020年09月14日

ウズベキスタンでは経済自由化と経済構造改革が進展しており、物流面でも近年大幅な改善がみられる。ジェトロは9月3日、ウズベキスタン最新物流事情を紹介するオンラインセミナーを開催した。以下にその概要を紹介する。

ジェトロ・タシケント事務所の高橋淳所長は、中国からカザフスタン、ロシアを経由して欧州に至る「中欧班列」ルートの状況や、中央アジア・コーカサス地域の物流活性化に向けた動きについて説明。「中欧班列」については、新たな国境ポイントや欧州向け新ルートの開設など利便性の向上もあり、2020年1~7月のコンテナ輸送実績は前年同期比で67%増(注1)と大幅に拡大していると述べた。

中央アジア・コーカサス地域では3つの要因が域内物流を活性化させていると指摘。a.ウズベキスタンのシャフカト・ミルジョエフ大統領による近隣国との友好善隣政策や為替自由化に代表される経済開放政策、b.カスピ海の法的地位をめぐる問題が解決し、周辺国との輸送協力に向けた雰囲気が醸成されていること、c.カスピ海沿岸の港湾インフラ投資が一服したことを挙げ、これらを受けてカザフスタンのアクタウ港(2019年11月26日記事参照)、クリク港(2019年11月27日記事参照)、アゼルバイジャンのバクー新港(2018年5月14日地域・分析レポート記事参照)、ジョージアのバトゥーミ港などでは、貨物取扱実績が前年比で増加していると述べた。

ウズベキスタン唯一の日系物流会社であるアイティエスニッポンの吉田明広社長はウズベキスタンの物流事情について解説。過去10年間で大きく変化した点として、外的環境の変化と物流ルートの多様化、通関手続きの簡素化、国内の物流事情の改善を挙げた。

外的環境の変化については、二重為替の解消、関税率や付加価値税率の引き下げなどにより、ウズベキスタンの輸入額が拡大していると指摘。物流ルートの多様化では、カザフスタン・中国国境にあるアルティンコリ鉄道駅やクリク港のインフラ整備が進み、ウズベキスタン向けの新たな輸送ルートが出現していると述べた。

通関手続きの簡素化については、「政府サービス総合ポータル」を通じて手続きが電子的に行えるようになり、加えて、必要文書を電子媒体で提出可能となった点が大きいと強調。ウズベキスタン国内の輸送に関しては、国内移動で完結する鉄道網が整備されたこと(注2)、道路整備が全般的に進んでいることもあり、輸送品質レベルが上昇していると語った(詳細は2020年9月8日調査レポート「ウズベキスタンの物流事情」を参照)。

(注1)ロシア鉄道、ベラルーシ鉄道、カザフスタン鉄道が共同出資する輸送会社UTLCの実績。

(注2)ウズベキスタンでは自国内輸送であっても他国領内を通過しなければならない鉄道ルートが3カ所存在していた。

(齋藤寛)

(ウズベキスタン、ロシア、CIS)

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