アクタウ港、カスピ海経由コンテナ輸送能力を2倍に拡大へ

(カザフスタン、アゼルバイジャン、ロシア、CIS)

タシケント発

2019年11月26日

カザフスタンのカスピ海東岸・アクタウ港の管理会社「アクタウ商業港」は11月13日、現在アクタウ港とバクー港(アゼルバイジャン)の間で週1回運航しているフィーダー便の輸送能力を倍増させる交渉を進めていることを、ジェトロのインタビューで明らかにした。

アクタウ港は、石油製品(年200万トン)、穀物(年80万トン)、ドライ貨物、コンテナ(保冷コンテナを含む)、鉄鋼製品(コイル)、一般貨物などを扱うカザフスタン最大の港湾だ。4月13日からカザフスタンの海運会社カズモルトランスフロトが、アクタウ港とカスピ海対岸のアゼルバイジャン・バクー新港(アリャト)の間でフィーダー船「トルケスタン」によるコンテナ輸送を開始(2019年4月18日記事参照)した。フィーダー船は火曜日(作業状況によっては水曜日)にアクタウを出発し、24時間でバクーに到着する。輸送実績は10月までに1万TEU(20フィートコンテナ換算)に達し、2019年通年では1万2,000TEUを見込む。コンテナ輸送への高い需要から、アクタウ商業港はカズモルトランスフロトとの間で2019年末にフィーダー船を1隻追加投入する交渉を進めており、2020年は輸送実績を2倍に伸ばしたい考え。カザフスタン鉄道(KTZ)のパベル・ソコロフ副会長もジェトロによるインタビュー(11月14日)の中で、フィーダー船が追加されることへの期待を表明している。

同フィーダー船のコンテナ輸送能力は225TEUで、主な取扱品目はカザフスタン産の穀物、中国からの食品(トマトペーストなど)、家電、日用品など。貨物は港からはカザフスタン鉄道、同子会社のKTZ エキスプレス、アゼルバイジャン鉄道などのコンテナ(20・40フィート、45フィート)で輸送される。フィーダー船の西(バクー港)行きの積載率はほぼ100%で、東行き(カザフスタンほか中央アジア向け)貨物の増加に向けて海運大手のMSC、CMA-CGMなどとも協力を進める。現在は、冷凍鶏肉などが輸送されている。

2013年にアラブ首長国連邦のドバイに本拠を置くドバイ・ポート・ワールド(DP World)が、バクー港のマネジメント契約を締結し、2014年から運営を開始している。同社からは4人の役員が派遣されており、第1副社長で最高執行責任者(COO)のナズバン・メフタ氏はジェトロのインタビューに対し、港湾の運営・管理の質に自信を示した上で、日系企業にa.中国から欧州南部(バルカン半島、ギリシア、イタリア、スペインなど)、b.日本・東南アジア・欧州からの中央アジア向けコンテナ輸送について、カスピ海経由の輸送路を検討するよう呼び掛けた。

写真 DP World出身のナズバン・メフタCOO(ジェトロ撮影)

DP World出身のナズバン・メフタCOO(ジェトロ撮影)

写真 穀物サイロ(奥)と風力発電機のブレード(手前)(ジェトロ撮影)

穀物サイロ(奥)と風力発電機のブレード(手前)(ジェトロ撮影)

写真 白いコンテナバッグは化学肥料(ジェトロ撮影)

白いコンテナバッグは化学肥料(ジェトロ撮影)

写真 リーファーコンテナにも対応可能(ジェトロ撮影)

リーファーコンテナにも対応可能(ジェトロ撮影)

(高橋淳)

(カザフスタン、アゼルバイジャン、ロシア、CIS)

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