新型コロナワクチンと同原薬の輸入関税を一時的に撤廃

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年09月24日

貿易審議会(CAMEX)(注)は9月16日、新型コロナウイルス・ワクチンと同原薬を輸入関税の免税リストに加えることを決議した(2020年9月16日付CAMEX決議第90号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同決議は翌17日付官報に掲載され即日施行した。同免税リストは、政府が定めた新型コロナウイルス感染拡大対策の実施期間中(2020年10月30日まで)に限って使用する医薬品、医療機器、関連部品・投入品・アクセサリーなどが対象となっている。過去に承認された品目を加えると計562品目となる。

連邦政府による、今回のワクチンと同原薬に対する輸入関税の撤廃措置は、英国、中国、米国、ドイツ、ロシアの各国製薬メーカー等が進めている新型コロナウイルス・ワクチンの供給や技術移転による現地生産を円滑化する狙いがある。

9月21日現在までの各製薬メーカーなどの動きをみると、英国のオックスフォード大学およびアストラゼネカは、保健省の国立研究所(FIOCRUZ)をパートナーに(2020年7月3日記事参照)国家衛生監督庁(ANVISA)による承認を得て、臨床試験の最終段階となる第3相臨床試験を行っている。一方、中国バイオ企業のシノバック・バイオテックはサンパウロ州政府傘下のブタンタン研究所をパートナーに(2020年6月15日記事参照)第3相臨床試験を行っている。両グループはブラジルへのワクチン供給一番乗りを目指し凌ぎを削っており、それぞれの国内パートナーを通じて技術移転による現地生産も進めている。公的医療機関である統一保健医療システム(SUS)への両ワクチン供給は2021年1月からを予定しているが、ブラジル国内へのワクチン輸入は年内に始まることが見込まれている。

AMVISAはこのほか、ドイツ製薬大手ビオンテックと米製薬大手ファイザーのワクチンと米国ジョンソン・エンド・ジョンソンの製薬部門であるヤンセンファーマのワクチンについても、それぞれ7月と8月に第3相臨床試験実施を承認している。AMVISAに対してはロシアの国立疫学微生物学ガマレヤ国立センターが開発するワクチン(2020年8月18日記事参照)の第3相臨床試験、米国ユナイテッド・バイオメディカルの現地法人COVAXX社が開発するワクチンの第2・第3臨床試験がそれぞれ申請されている。

(注)CAMEXは、経済省の国貿易国際問題特別局に属し、ブラジル国内で課される関税率を決定する権限を持つ。

(大久保敦)

(ブラジル)

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