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パラナ州、有効性を見極めロシアの新型コロナワクチン生産へ

(ブラジル、ロシア)

サンパウロ発

2020年08月18日

ブラジルのパラナ州政府は8月12日、ロシア政府と同州における新型コロナウイルスワクチン開発に向けたパートナーシップ覚書に調印した。覚書は、国立疫学微生物学ガマレヤ国立センターが開発を主導する新型コロナワクチン「スプートニク5号」を同州内に存在するとされる多くの治験希望者に投与し、その有効性と安全性を検証する第3相臨床試験の実施を想定したもの。同州はブラジル国内でロシア系移民が最も多い州として知られている。

パラナ州政府はさらにロシアと技術移転交渉を進めており、パラナ技術研究所(Tecpar)を通じて州内でのワクチン生産を目指す。Tecparのホルヘ・カラド所長は12日、「このワクチンの生産を2021年後半から始められる可能性がある」と語った。工場設置コストは8,000万レアル(約16億円、1レアル=約20円)ほどと試算しており、カラド所長は新たに国際的な生産パートナーも模索する考えも明らかしている。

ただし、今回の覚書について、ハチーニョ・ジュ二オ・パラナ州知事は「ロシアとの協力を拡大してパートナーシップを確立することが目的」であり、「初期段階の合意」と説明している。グト・シルバ州官房長も、このワクチンに関する過去の臨床試験結果データにいまだアクセスしていないため、今後、同州の専門家でタスクフォースを組織してデータを入手し、ブラジルでの臨床試験実施を事前承認する国家衛生監督庁(ANVISA)に臨床データを提出するとの見通しを明らかにした。カラド所長は安全性と透明性を重視して慎重な対応を強調。エビデンスの確認や連邦政府規制当局との適切な調整なしにプロジェクトを前に進めることは決してないと強調している。

ロシアのプーチン大統領は11日、「スプートニク5号」を「ロシア政府が承認した世界初の新型コロナウイルスワクチン」と発表していた。しかし、10日時点で世界保健機関(WHO)に登録された139品目のワクチン候補のうち、「スプートニク5号」は第3相臨床試験段階にある6品目の中にリストアップされておらず、その有効性を疑問視する声も上がっている。世界2位の感染者数を記録するブラジルでは、(1)英国製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学、(2)中国シノバック、(3)中国国営企業シノファームの各ワクチンが同国での生産を視野に第3相試験実施中もしくは実施予定段階にある。今回のワクチンを合わせると4事例となる。

(大久保敦)

(ブラジル、ロシア)

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