保健省、英アストラゼネカの技術供与で1億回分の新型コロナ向けワクチンの国内生産を発表

(ブラジル、英国)

サンパウロ発

2020年07月03日

ブラジル保健省は6月27日、英国オックスフォード大学と、新型コロナウイルス向けワクチンを開発中の英国製薬大手アストラゼネカから、約1億回分のワクチン構成物(原薬)を調達し、ブラジル国内でワクチン生産を行う技術供与に合意したことを発表した。

同ワクチンは、その有効性、安全性などを最終的に確認する臨床試験の第3段階にあり、6月19日から、サンパウロ連邦大学(UNIFESP)などを通じて、サンパウロ市やリオデジャネイロ市で治験希望者計3,000人への接種が開始されている。

保健省によると、アストラゼネカのワクチンによる接種効果が承認された場合は、以下の2段階で保健省国立研究所であるオズワルドクルズ財団(以下、FIOCRUZ)が原薬を調達して、ワクチンのさらなる効果や安全性の研究とワクチン生産を担う。

第1段階では、FIOCRUZは3,040回分(2020年12月と2021年1月に各1,520回分)の原薬を調達してワクチン生産を行う。第1段階の原薬調達コストは1億2,700万ドルで、同コストにはFIOCRUZへの技術・生産移転コストが推定3,000万ドル含まれる。第1段階のワクチンは、重症化リスク者と医療従事者に対する接種に充てられる。

第2段階では、FIOCRUZが第1段階でのワクチンの効果と安全性を評価した上で、さらに7,000万回分の原薬を調達してワクチン生産を行う選択権を有している。保健省は、7,000万回分の原薬購入コストを約1億6,000万ドル(1回当たり2.3ドル)と試算している。購入価格は、競合となるワクチンが市場に出回る可能性があるため、国際市場価格を再度確認した上で決定する。第2段階のワクチンは、全国の公立病院や保健所が加わる統一医療保健システム(SUS)に充てられる。第2段階が終了すれば、ブラジルは独自に新型コロナウイルス・ワクチンを生産できるようになる。

現在、感染確認者数が世界2位のブラジルは、新型コロナウイルス用のワクチン開発の舞台になっている。今回発表されたワクチンのほかに、サンパウロ州政府は6月11日、同州管轄のブタンタン研究所と、中国シノバック・バイオテックが提携してワクチン生産することを発表(2020年6月15日記事参照)。近く、治験実施が予定されている。6月23日付の現地紙「エスタード・デ・ミナス」によると、ジマス・コーバス同研究所長は、10月末までに臨床試験を完了させて許認可を取得し、2021年初にワクチン生産を開始したい意向を明らかにしている。

(大久保敦)

(ブラジル、英国)

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