UNDP、新型コロナの影響に関するレポート発表、2020年成長率をマイナス5.1~7.9%と予測
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2020年09月01日
国連開発計画(UNDP)は8月19日、新型コロナウイルスが南アフリカ共和国の社会経済や家計に与える影響に関する調査レポートを発表した(プレスリリース)。
同レポートでは南アの2020年のGDP成長率は楽観シナリオの場合で5.1%減、悲観シナリオで7.9%減に落ち込むと予測し、2019年以前の経済の状態に戻るまで最低でも5年かかるとした。また、新型コロナウイルスへの対応として政府が企業や貧困層に対して社会経済支援策を行っているものの(2020年4月23日記事参照)、楽観シナリオでも2020年中に4万7,000人以上(悲観シナリオでは8万人以上)が失業し、特に基礎教育課程しか修了していない世帯が最も収入の面で深刻な影響を受けるとした。UNDPは南アの貧困世帯は楽観シナリオの場合でも、0.45%(約26万世帯)増加(悲観シナリオでは0.66%、約39万世帯)するとの予測を示し、ロックダウン開始当初にノン・エッセンシャルとして指定されていた靴・医療品、宿泊・ケータリング業などに従事している労働者や中小企業が影響を受けやすいとした。
8月19日にオンライン形式で実施された同レポートの発表式の開会演説で、ナルドス・ベケレ・トーマス国連南ア居住者コーディネーターは、南ア政府の新型コロナウイルスへの対応に関するリーダーシップを評価するとともに、「危機を無駄にせず、変化の機会に」との言葉を投げかけた。
感染拡大が減速傾向の南アでは、8月17日から警戒レベルが3から2に引き下げられ(最大レベル5、2020年8月18日記事参照)、酒類・たばこの販売、スポーツジムの再開など、一部条件が伴う業種はあるもののほぼ全てのビジネスが再開している。同時に政府は「国家的災害事態」を9月15日まで延長したが、今も国境封鎖(物流、帰還便を除く)が続く。
(高橋史)
(南アフリカ共和国)
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