第2四半期GDP、民間の消費、投資ともに大きく減退

(メキシコ)

メキシコ発

2020年09月29日

国立統計地理情報院(INEGI)は9月21日、メキシコの2020年第2四半期の需要項目別国民経済統計を発表した。前年同期比18.7%減だったGDPを需要項目別にみると、民間総固定資本形成(民間投資)が37.3%減、民間消費支出が20.6%減と記録的な減少になり、寄与度はそれぞれマイナス6.26ポイント、マイナス13.74ポイントと大きくGDPを押し下げた(添付資料表1参照)。公的総固定資本形成(公的投資)も10.5%減だったが、政府消費支出は2.4%増と唯一プラスとなった。

季節調整済み前期比では、民間投資が33.25%減、民間消費支出が19.36%減となり、新型コロナウイルス感染拡大による投資意欲の減退と需要減を如実に表したかたちだ(添付資料表2参照)。公的投資は4.43%減、政府消費支出も1.04%減となり、政府による景気刺激策の不在を示している。また、財・サービスの輸出は30.48%減だが、自動車産業などの主要な輸出産業が「不可抗力の衛生上の非常事態宣言」(2020年3月26日記事参照)により3月下旬から5月下旬ごろまで生産停止を余儀なくされた影響が大きい。

大蔵公債省はメキシコの2020年実質GDP成長率をマイナス8.0%と見込んでいるが(2020年9月11日記事参照)、民間・国際機関の見方はより厳しいものになっている。米国投資銀行大手ゴールドマン・サックスはメキシコの2020年実質GDP成長率をマイナス9.8%と予想し、同行のアルベルト・ラモス氏率いるエコノミストらは「新型コロナウイルス感染拡大による外需の減少、外出自粛などの措置が国内経済に与えた深刻な影響のみならず、『新型コロナ危機』以前から弱体化していたメキシコのマクロ経済の状態を考慮したものだ」とし、「他のラテンアメリカ諸国や新興国の政府が持っている危機感をメキシコ政府が有しているとは思えず、GDPの1~1.5%の予算規模にとどまる経済支援策は同国の生産セクターにとって非常に限定的な効果しかもたらさない」とコメントした。そのほかでは、国連貿易開発会議(UNCTAD)はマイナス10.0%、OECDはマイナス10.2%、シティバナメックス銀行はマイナス11.2%、在メキシコ米国商工会議所(Amcham)はマイナス11.5%と予想している(「エル・エコノミスタ」紙9月21、22日)。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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