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2021年の予算法案を国会に提出、ワクチン開発を前提とした楽観的予算

(メキシコ)

メキシコ発

2020年09月11日

メキシコ大蔵公債省は9月8日、2021年歳入法案と歳出計画を国会に提出した。基礎的財政収支は均衡、債務残高の対GDP比も2020年と同水準の53.7%に抑える。戦後最悪のマイナス成長が確実視される2020年の落ち込みからV字回復させるための財政拡大は行わず、従来通りの緊縮財政を貫く。歳入は前年予算比で3.0%減、実際の2020年見込み額と比較すると0.5%減と横ばい。ただし、石油収入や手数料収入などを除く税収としては、2020年見込み額から5.7%増加するとしている。歳出は前年予算比で0.3%減、見込み額と比較すると0.1%増としており、ほぼ2020年と同水準だ。

予算策定の前提となる「経済政策一般基準」によると、2021年の経済成長率は4.6%としている(添付資料表参照)。中央銀行が毎月発表する民間調査機関の成長率見通し平均値(2020年9月1日発表)は3.01%となっており、かなり楽観的な見通しだ。アルトゥーロ・エレーラ大蔵公債相によると、同見通しは新型コロナウイルスのワクチン開発が順調に進み、2021年初から接種が可能になることにより、経済活動の活性化が急速に進むことを念頭に置いている。メキシコ政府は外務省を中心に諸外国と交渉を行い、英国や米国、ロシア、中国、イタリアで開発中のワクチンを早期に導入するための合意を獲得している。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、全国民に無料でワクチンを接種できる体制を整えたとしているが、予算策定の前提となる経済成長率が先行き不透明なワクチン開発の早期成功を前提としていることを問題視する声は多い。インフレ、金利、為替レート、米国の経済成長率、原油価格などの見通しは比較的現実的で、民間部門の見通しとの差も小さいが、原油生産量については2021年平均で日量185万7,000バレルとしており、2020年7月の実績が同160万4,700バレルであったことを考慮すると、楽観的すぎるという見方もある。

2021年も本格的な税制改革はなし

2021年の歳入法案には新税の創設や税率変更は盛り込んでいない。徴税効率化や脱税防止に向けた所得税(ISR)法、付加価値税(IVA)法などの幾つかの改正は盛り込んでいるが、徴税基盤を拡大するような大きな改正はない。しかし、大蔵公債省は2021年の税収を2020年見込み額比で5.7%増加するとしており、経済成長率(4.6%)以上の税収増を見込む。国税庁(SAT)は景気後退下で徴税強化に取り組んでおり、大企業の行き過ぎた節税策に目を光らせているほか、電子税務制度の下で納税者から入手できるリアルタイムの情報を基に納税者メールボックスやEメールなどを通じたインターネット税務調査を積極的に実施している。また、IVAの還付申請の審査も厳しくなっており、納税者の税務履行の負荷が増している。2021年も景気刺激や投資促進に向けた減税策などは一切考慮されていない中で、納税者に対する取り立ては厳しくなるとみられ、進出企業にとって厳しい状況が続きそうだ。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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