日英EPAの早期発効に強い期待を寄せる日本企業

(日本、英国、EU)

欧州ロシアCIS課

2020年09月14日

日本と英国間の包括的経済連携協定(EPA)が9月11日、大筋合意に達した(2020年9月14日記事参照)。2020年末に迫る、英国のEU離脱後の移行期間終了までに本協定が発効すれば、日EU・EPAの下で得られている利益の喪失を回避し、日系企業のビジネスの継続性を確保することができることから、今後、早期の署名および両国での批准手続きが期待される。

経団連の中西宏明会長は、日英EPAの大筋合意を受けて、同日コメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表。英国には多くの日本企業が進出し、日英のみならずEUを加えた3地域内で密接なサプライチェーンを構築しているとして、同EPAの大筋合意を歓迎するとともに、日本政府に対し「2021年1月1日に協定を発効させ、切れ目なく自由な貿易投資を続けるために、日英両国において所要の手続きを速やかに進められたい」と要請した。さらに、英国の環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への加盟に関して、「今般の合意により、英国のCPTPP加盟への道筋も切り開かれたものと認識している」と期待を示した。英国政府は9月9日、CPTPPへの英国の加盟について、加盟11カ国と初の協議を実施している(2020年9月11日記事参照)。

また、日本自動車工業会(JAMA)の豊田章男会長も同日、交渉開始から3カ月という短期間で、日EU・EPAと同水準の協定が合意されたことを評価するコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。日本の外務省PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、日英EPAでは、EU原産の材料・生産を日英EPA上の原産材料・生産とみなすことが盛り込まれたが、この点について「グローバルなサプライチェーンに対応できる利便性の高い原産地規則」と評価した。また、「本協定が移行期間の終了から間断なく発効されることで、40年近くにわたる日本と英国の深く互恵的な貿易、技術、投資関係が一層強化される」として、その早期発効へも強い期待を示した。

ジェトロが2019年11~12月に実施した日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査では、英国向け輸出を行っている企業の26.3%が「日EU・EPAを利用している」と回答、24.1%が「利用を検討中」と回答しており、日英EPAの早期発効への期待は大きい。

ジェトロ、日EU・EPA特集ページを日EU・EPA/日英EPA特集ページに発展

ジェトロはウェブサイト上の日EU・EPA特集ページを日EU・EPA/日英EPA特集ページに発展・拡大し、今後、同EPAに関する情報を随時更新する予定だ。9月14日現在、両国政府は以下の資料を発表している(全て9月11日発表)。

・外務省

日英包括的経済連携協定 大筋合意内容PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

日英包括的経済連携協定の大筋合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

・経済産業省

日英EPAの大筋合意結果について(鉱工業品関税)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

・農林水産省

「日英包括的経済連携協定(日英EPA)」について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

・財務省

日英経済連携協定(EPA)酒類、たばこ、塩の市場アクセス交渉等に関する大筋合意の概要を公表します外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

・英国政府

UK and Japan agree historic free trade agreement外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(根津奈緒美)

(日本、英国、EU)

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