日系15社がバーチャル出展、米スタートアップイベント「ディスラプト」で
(米国)
サンフランシスコ発
2020年09月30日
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、初めてオンライン開催(9月14~18日)された米国スタートアップイベント「ディスラプト」(2020年9月30日記事参照)で、ジェトロがイノベーション・プログラムで支援する日系スタートアップ15社が、動画で自社技術を紹介する「バーチャル展示」を行った。出展企業の声を報告する。
自然素材のモノのインターネット(IoT)デバイスを開発するムイラボ(mui Lab)は、2019年に続き2度目の参加だ。同社の三宅謙介グローバルセールスディレクターは「ユニークなハードウエアが参加者の目を引き、製品の引き合いにつながる場合が多いが、今回はピッチに出ておらず露出が少ないので、能動的に商談のアポ取りをしている。発信するコンテンツやメッセージは短くインパクトあるものに工夫し、時差がありリアルタイムで対応が必要な場合に備え、現地アドバイザーにスタンバイを依頼している」と、出展中の工夫について語った。
バーチャル展示を行った企業のうち、6社はライブストリーミングでピッチも行った。ディスラプト初参加のウォーターデザインジャパン(Water Design Japan)は、水道管に取り付けるノズルで目に見えないほどの小さな泡を生成し、排水溝の汚れなどを吸着・剥離させる技術を持つ。同社共同創業者の伊藤夏美氏は「オンライン開催だったので普段の業務と並行して参加できたのはメリット。オンラインピッチは今回が初めての体験で、対面とは違う難しさもあったが、ピッチを視聴した方とのコネクションが得られた」と、ディスラプト初参加の感想を語った。
近年、日本でも連続起業家(シリアルアントレプレナー)が増える中、今回ピッチを行った6社のうち、3社が経験豊富な連続起業家が設立した企業だった。その中の1社、バッジ(Bajji)の創業者・最高経営責任者(CEO)の小林慎和氏は、2社のエグジット(会社売却など)と2社の破産を経験した連続起業家として感じた困難を基に、「フィールユー(Feelyou)」の開発を始めた。フィールユーは、自分の感情の記録とコミュニティーからの共感に焦点を当てたセルフケアアプリで、広告収入を得るビジネスモデルではなく、サブスクリプション型を採用する。新型コロナウイルス禍で不安を抱えるミレニアル世代(注)など、世界中のユーザーをターゲットに2020年7月にサービスを開始し、その後2カ月で欧州や米国などから約2万人のユーザーを獲得している。小林CEOは「ピッチ後、ロンドンの参加者から『サービスについて詳しく聞かせてほしい』と連絡が来て、1時間ミーティングした」と、ライブストリーミングされたピッチの手応えを話した。
(注)一般に、1981~1996年生まれの世代を指す。
(樽谷範哉、田中三保子)
(米国)
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