米大型スタートアップ展示会「ディスラプト」、コロナ禍で初のオンライン開催

(米国)

サンフランシスコ発

2020年09月30日

米国サンフランシスコで年次開催されている大型スタートアップイベント「ディスラプト」が9月14~18日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、初めてオンラインで開催された。

今回のオンライン開催は、参加者がイベント専用の「バーチャル・プラットフォーム」にアクセスする仕組みをとった。同プラットフォームを通じて、テック業界の著名人を招いて行うトークセッション動画をライブストリーミングし、参加者同士のネットワーキングを可能とした。各スタートアップの展示は、動画で技術を紹介する「バーチャル展示」方式で行われた。また、世界中からアクセスする参加者に配慮し、開催時間はサンフランシスコの日中だけでなく、夜遅い時間帯(アジアの午後、一部欧州で午前)にもトークセッションなどが行われた。

ディスラプトは近年、トークセッションのトピックとして、最新テクノロジーだけではなく、米国の社会問題も取り入れる傾向にある。2020年は、全米各地で起きている「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動の影響を受けてか、人種問題を意識したテーマもみられた。また、過去の開催に比べ、黒人スピーカーが多く登壇した。

ディスラプト恒例の賞金10万ドルをかけて競うピッチ大会では、合法大麻農場向けの統合業務(ERP)ソフトウエアを開発するキャニックス(Canix、本社:サンフランシスコ、2018年設立)が優勝した。大麻農場は、株ごとに番号を振り、在庫管理から販売まで、州政府の追跡システムへデータを入力することを義務付けられている。キャニックスによると、農場が同社の無線ICタグ読み取りスキャナー(RFID)と、州政府システムや経理システムと統合できるEPRプラットフォームを使えば、データ入力に費やす時間を大幅に削減できるという。また、プラットフォームに蓄積したデータに基づき、在庫予測も可能になる。同社は、サービス提供地域を、娯楽使用が合法となった全11州とワシントンDCおよびカナダに拡大していく予定(注)。米国では今後、アリゾナ州やモンタナ州などで、大麻の娯楽使用合法化の可否が11月の住民投票にかけられることになっている。

写真 ディスラプトのバーチャル・プラットフォーム(ジェトロ撮影)

ディスラプトのバーチャル・プラットフォーム(ジェトロ撮影)

写真 トークセッションの様子(ジェトロ撮影)

トークセッションの様子(ジェトロ撮影)

写真 キャニックス優勝発表の様子:画面中央右がキャニックスのステイシー・ロノウスキ最高経営責任者(ジェトロ撮影)

キャニックス優勝発表の様子:画面中央右がキャニックスのステイシー・ロノウスキ最高経営責任者(ジェトロ撮影)

(注)アラスカ、カリフォルニア、コロラド、イリノイ、メーン、マサチューセッツ、ミシガン、ネバダ、オレゴン、バーモント、ワシントンの11州(2020年7月時点)。カナダは2018年10月から合法化(2018年6月25日記事参照)。

(田中三保子)

(米国)

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