米商務省、ファーウェイなどへの輸出管理を強化、第三者からの調達を制限

(米国、中国)

ニューヨーク発

2020年08月18日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は8月17日、中国の華為技術(ファーウェイ)と関連企業に対し、米国製の技術・ソフトウエアへのアクセス制限を強化すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。措置は同日から有効で、正式には8月20日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示する。

ファーウェイと関連企業(以下、ファーウェイなど)は2019年5月以降、BISが管理するエンティティ―リスト(EL)に掲載され、これら企業への米国製品(物品、ソフトウエア、技術)の輸出・再輸出などは原則不許可となっている。また、BISは2020年5月、ファーウェイなどが設計し、米国の技術・ソフトウエアを用いて国外で製造された直接製品について、ファーウェイなどへの再輸出・米国外から輸出・国内移転をする際に、事前にBISの許可が必要となる措置を発表している(2020年5月19日記事参照)。

今回の規則変更により、米輸出管理規則(EAR)の一般禁止事項3〔連邦規則集第15編のPart736.2(b)(3)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕で規制される、米国の技術・ソフトウエアに基づき米国外で製造された直接製品(注)について、以下の取引を行う場合に、事前にBISの許可が必要となる。

  1. ファーウェイなどが生産または購入、注文する部品・装置の開発または製造に使用される場合。
  2. ファーウェイなどが「購入者」「中間荷受人」「最終荷受人」「最終使用者(エンドユーザー)」などの当事者である場合。

改正の趣旨について、商務省の担当者は、ファーウェイが前回(5月)の規制への次善策として、自社設計の半導体チップを外国の半導体メーカーの製品に置き換える取り組みを遮るため、と説明している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙8月17日)。ウィルバー・ロス商務長官は「われわれが米国の技術へのアクセスを制限するのに伴い、ファーウェイなどは第三者を通じて、米国の安全保障と外交利益を損なうかたちで米国の技術を活用している」と指摘し、ファーウェイの試みを阻止する取り組みの一環だと述べた。

商務省は、上記変更に加え、ファーウェイの関連企業38社をELに追加した。追加企業には、Huawei CloudやHuawei OpenLabなど21カ国にまたがる海外子会社が含まれる。商務省は、ファーウェイがこれら企業を通じて、現行規制を回避していると指摘する。

また、これまでファーウェイなどに付与してきた暫定包括許可(TGL:Temporary General License)も失効した旨を通知した。BISは、EL掲載企業と契約済みの案件などについて、例外的に取引をTGLで一時許容したが、2020年5月に、8月13日以降は延長しない方針を示していた(2020年5月20日記事参照)。マイク・ポンペオ国務長官は、今回の発表を支持するとともに、TGL終了について、主にファーウェイの顧客など影響を受ける企業や個人に対し、調達先の変更や事業縮小のための時間を十分に与えたとして、「いまその時間は終わった」とコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

米半導体協会(SIA)は規制の内容を精査中としつつも、「安全保障上の目的を達しながら米企業への打撃を絞る前回の限定的なアプローチからの急激な変更に対し、驚きと懸念を有している」と述べ、半導体取引への幅広い制限が米国半導体業界に重大な影響をもたらすとの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

(注)規制対象については、BIS管理の規制品目リスト(CCL)に掲載される国家安全保障(NS)規制に加え、20205月に指定された輸出管理分類番号(ECCN)(3E0013E0023E0034E0015E0013D0014D0015D0013E9914E9924E9935E9913D9914D9934D9945D991)に該当する技術またはソフトウエアが該当する。

(藪恭兵)

(米国、中国)

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