7月の自動車生産台数、前年同月比0.7%増に

(メキシコ)

メキシコ発

2020年08月13日

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)は8月6日、メキシコの7月の自動車生産台数(大型バス・トラックを除く)は前年同月比0.7%増と5カ月ぶりにプラスに転じ、新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻ったと発表した(添付資料表参照)。7月の生産台数は29万4,946台で、前年同月よりも1,911台多い。特に、フォードが前年同月比58.6%増となる2万7,009台を生産し、マツダが同29.6%増の1万116台、トヨタが同29.1%増の1万6,304台と生産を伸ばしたほか、BMWも同3.3倍の6,013台と大幅に拡大させた。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、3月下旬から講じられた「全国健全な距離キャンペーン」と「不可抗力の衛生上の非常事態宣言」により、「不可欠な活動」を除く広範な社会・経済活動が制限され(2020年3月26日記事参照)、自動車の生産を停止せざるを得なかった影響で、4月の生産台数は前年同月比98.8%減の3,722台、5月は同93.8%減の2万1,637台と大幅減を記録した。5月18日以降は段階的に「不可欠な活動」に自動車産業が加えられると(2020年5月15日記事参照)、6月には生産台数は23万8,946台(同29.2%減)まで回復し、7月にはわずかながら前年同月を上回る水準となった。

輸出台数は4月に前年同月比90.2%減の2万7,889台、5月に同95.1%減の1万5,088台まで落ち込んだが、6月は19万6,173台(同38.8%減)、7月には25万6,098台(同5.5%減)まで回復した。

新型コロナウイルス感染拡大前から低迷していた国内販売台数(2020年3月13日記事参照)は、4月に前年同月比64.5%減、5月には同59.0%減、6月には同41.1%減と大幅減で推移し、7月の販売台数は7万2,897台で同31.3%減と、鈍いながらも回復も見せている。

しかし、1月から7月までの累計をみると、生産台数は146万7,644台で前年同期比35.5%減、輸出台数は127万4,517台で同36.8%減となり、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした自動車産業へのダメージは大きい。メキシコ自動車工業会(AMIA)のファウスト・クエバス会長は、工場が完全に操業を停止した4、5月の損失を取り戻すことは難しいとコメントし、「7月の指標はわれわれが想定していたより良い結果だったものの、経済は回復したというよりも、再活性化したという水準にとどまっている」と述べた(「エル・エコノミスタ」紙8月6日)。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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