「コロナショック」前の第1四半期GDP成長率は前年同期比マイナス5.4%

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年07月03日

アルゼンチンの国家統計センサス局(INDEC)は6月23日、2020年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比マイナス5.4%、前期比(季節調整済み)マイナス4.8%になったと発表した(添付資料表参照)。

産業分野別(前年同期比)では、漁業(30.4%減)、建設業(20.8%減)、ホテル・レストラン(10.2%減)はそれぞれ、2桁の大幅な落ち込みを記録。製造業(6.5%減)や商業(大手・零細)・修理(6.5%減)も軒並み落ち込んだ。

需要要素別(前年同期比)では、総固定資本形成が18.3%減と大幅に減少。民間消費支出も6.6%減、政府消費支出も0.7%減となった。こうした内需の減退に伴い、財・サービスの輸入も16.0%減少した。また、財・サービスの輸出も4.7%減となった。

なお、アルゼンチンでは、新型コロナウイルス感染拡大による外出禁止令の発令により、3月20日から原則として外出が禁止されているが、第1四半期の経済活動への影響は限定的だったといえる。当期は、アルベルト・フェルナンデス政権が誕生してから初の四半期となったが、厳しい結果になった。

フェルナンデス政権下では、大統領就任直後の2019年12月23日に社会連帯・生産性回復法を公布。アルゼンチンの経済および金融情勢、税制、財政状況、行政、社会保障および公共料金制度などが緊急事態にあることを宣言し、国内経済活性化や低所得層の収入改善などを目指した(2020年1月7日記事参照)。しかし、その後の施策は、企業活動の円滑化というよりも、貿易管理的な措置の復活や資本規制の強化などが中心になっており、経済の活性化には結び付いているとは言い難い。

なお、2020年第2四半期は、新型コロナウイルス感染拡大による外出禁止令が続いたことで、経済活動は大幅に制限された。経済指標は一層、厳しくなることが見込まれる。2020年の経済見通しについて、IMFは6月24日、2020年の実質GDP成長率をマイナス9.9%と発表した。また、現地民間調査会社エコラティーナは、同成長率をマイナス10.5%としている。また、最大688億ドルにおよぶ債務再編交渉については、現在、債権者との交渉期限を7月24日まで延長しているが(2020年6月22日記事参照)、これが妥結しなかった場合にはマイナス12%になるとみている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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