アルゼンチン政府、債務再編交渉を7月24日までさらに延長

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年06月22日

アルゼンチン政府は6月19日、決議289/2020号を公布し、最大688億ドルにおよぶ債務再編交渉の期限をさらに約1カ月延長し、7月24日までとすることを発表した。交渉期限の延長は、今回で5回目となる。政府と債権者側では引き続き交渉を続けており、交渉内容について歩み寄りつつあるが、6月19日付現地メディア「インフォバエ」などによれば、債券の正味現在価値(NPV)において両者に乖離があるとされている。

交渉妥結に向けた主要ポイントの1つは、債券の正味現在価値(NPV、注)だとされている。政府は「NPVに対し50%の損失まで譲歩してきた」とされるが、債権者の提案とは引き続き5ポイント近くの差があるとされている。6月18日付現地「アンビト」紙によれば、アルベルト・フェルナンデス大統領は、現時点において50%からの譲歩は認めないとする姿勢を見せつつも、再び交渉期限を延長する運びとなった。

今回の交渉に対するスタンスについて、フェルナンデス大統領は6月17日に行われた現地放送局「テレフェ」とのインタビューで、今回の交渉の妥結を通じてアルゼンチンへの信用の回復を目指していることを表明。自ら首相として携わった2005年の債務再編交渉時を例に出し、その時には交渉妥結まで1年間を要したとして、交渉に対して「慌てた対応は取らない」との意向を示した。

今回の決議289/2020号によれば、7月27日に、債権者側が政府案を受け入れたかどうかについての結果を発表し、30日に新たな債券への交換が実行されるスケジュールが組まれている。

注)投資によってどれだけの利益が得られるのかを示す指標で、差額がプラスで値が大きいほど投資や事業の経済的価値が高いとされる。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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