社会連帯・生産性回復法が可決、増税や外貨購入規制を制定

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年01月07日

アルゼンチン上院は12月21日早朝、12時間の審議を経て、社会連帯・生産性回復法案を賛成41票、反対23票、棄権1票で可決した。12月23日付官報で、法律第27541号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)として公布された。同法案は、マルティン・グスマン経済相が17日に下院に提出し(2019年12月19日記事参照)、20日早朝には、下院を賛成134票、反対110票で通過した。

社会連帯・生産性回復法は、アルゼンチンの経済および金融情勢、税制、財政状況、行政、社会保障および公共料金制度などが緊急事態にあることを宣言し、国内経済活性化や低所得層の収入改善などを目的としたもの。2020年12月31日まで、議会で審議することなく、大統領の権限で同法に記載されている増税、各種税率の変更、定年退職金の額や民間部門の給与引き上げなどができる。

歳入面では、外貨購入、金融取引税、法人所得税、輸入取引に課する統計税、内国税、輸出税、個人資産税、社会保障負担金などについて定められた(添付資料参照)。

12月10日に発足したアルベルト・フェルナンデス新政権は、法案可決に際し、前政権が残した負の遺産や長期的な債務再編に向けた国内経済立て直しのために、歳入増加の取り組みが必要だと説明している。ただ、産業界や中間所得層に与える負担は大きい。12月24日付「インフォバエ」紙によれば、政府はこのほかに、2017年に前政権および各州政府間で定めていた州税〔業種や各州によって税率が異なる総売上税(Ingresos Brutos)〕の税率を徐々に引き下げる、または免税する措置について、2020年12月31日まで延期することで今回、各州政府から新たな同意を得たようだ。一方、企業側は、同州税の税率が引き上げられる可能性があることや、企業側が負担する社会保障負担の課税対象額が維持されることによる労働コストの上昇、また、産業や投資誘致に対する奨励が含まれていないことを懸念している、と同紙は伝えている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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