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USMCAが発効、国内法整備も完了

(メキシコ、米国、カナダ)

メキシコ発

2020年07月02日

米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が7月1日に発効した。メキシコ政府は6月29日付官報において、USMCAを北米自由貿易協定(NAFTA)に代えて発効させ、協定本体と6本のサイドレター、2019年12月10日に署名されたUSMCA改定議定書と米国との間の2本の合意文書を公布する目的の政令を出した。新型コロナウイルス感染の拡大により、USMCAの内容に合わせて国内法を改定する作業が遅れていたが、関連法の整備および改正法案が6月29日に上院、翌30日に下院を通過した。新たに新設されたのは、連邦産業財産権保護法、品質インフラ法(基準認証に関する新法)であり、改定されたのは連邦刑法と連邦著作権法である。知財関連が多く、USMCAの知的財産の章の先進的内容を反映するためのもの。

グラシエラ・マルケス経済相は7月1日の早朝記者会見において、同協定が北米の地域経済を強化する効果を強調した。また、USMCAにはNAFTAに存在しなかった中小企業育成、腐敗防止、環境保護、労働者の権利保護などの内容が含まれており、現政権の開発政策の柱になると強調した。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、世界大恐慌以来の深刻な不況に苦しむメキシコにとって、北米経済の強化は大きな助けになると語った。

USMCAだけでは不足、投資家に対する信頼付与が必須との声も

大統領や関係閣僚は、新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を受けているメキシコ経済をUSMCAが活性化させると主張しているが、USMCAの短期的な経済刺激効果には疑問を呈する声も多い。既にNAFTAで米墨間の関税は完全に撤廃されているため、USMCAで新たな関税恩典が加わるわけではない。むしろ、自動車分野の原産地規則厳格化により、短期的には無関税恩典が享受できない製品が出てくることも想定される。

原産地規則の厳格化は、中長期的には素材産業などサプライチェーンへの投資を呼び込む効果があるが、初期投資額が大きい分野への投資誘致のためには、法的信頼性の確保が不可欠だと主張する声も大きい。在メキシコ米国商工会議所(Amcham)のルイス・フォンセラーダ・チーフエコノミストは、「USMCAは上手く使えば強力なツールだが、それだけで問題を解決する魔法ではない」とし、「投資のプロセスにおいてはさまざまなリスクが存在するが、国が(契約内容や投資に関する)ルールを守らないことは投資の決断を阻害する重大なリスクとなる」とし、米国ビール会社の工場建設差し止め(2020年3月26日記事参照)や民間再生可能エネルギー発電事業者に対して不利な規制の導入(2020年5月7日記事5月18日記事参照)など現政権の政策を暗に批判した(「レフォルマ」紙7月1日)。

(中畑貴雄)

(メキシコ、米国、カナダ)

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