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米ビール会社の工場建設差し止めをめぐる大衆意見公募で大きな波紋

(メキシコ)

メキシコ発

2020年03月26日

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)政権は3月23日の早朝記者会見において、米国のアルコール飲料大手コンステレーション・ブランズのバハカリフォルニア州メヒカリにおけるビール工場建設継続の是非をめぐって、前日まで行われていた大衆意見公募の結果、住民の76.1%が建設中止に投票したとし、今後同社に対し、国家水資源庁(CONAGUA)による水利用許可を与えない方針を表明した。

コンステレーション・ブランズは、メキシコのビール大手モデロ・グループと提携関係にあり、米国における「コロナ」などのモデロ・グループのビール販売に加え、コアウイラ州とソノラ州でビール製造も行っている。2016年1月にメヒカリの新工場建設を発表して建設に着手したが、ビール製造に大量の水を使用することを懸念した地元住民との紛争が当初からあった。環境アセスメントなど必要な許認可は取得したものの、住民グループの反対が絶えなかったため、AMLO大統領は2020年3月2日に大衆意見公募の実施を連邦政府内務省に指示、3月21~22日に意見公募を実施、結果として建設中止が多数派となった。

今回の大衆意見公募は、2018年10月に実施され、新メキシコ国際空港の建設を中止に追い込んだ大衆意見公募(2018年11月1日記事参照)と同様、連邦や州の選挙庁が監督した正式な住民投票ではなく、法的根拠がない。投票に参加したのはわずか3万6,781人で、建設中止に投票した2万7,073人は州人口の2%にも満たない。さらに、新型コロナウイルスの感染が広がり、外出を控える動きが全国的に広がる中で、投票をあえて実施したことへの批判も強い。

日本経団連に相当する企業家調整評議会(CCE)は3月23日、大衆意見公募の結果をもって、法的許認可を全て取得しているコンステレーション・ブランズの投資計画を中止に追い込むのは違法で、メキシコにおける法の支配に対する内外の投資家の信頼喪失につながる最悪のメッセージだ、と批判するプレスリリースを出した。さらに、既に14億ドルの総投資額のうち9億ドルを実行済みで、多くの雇用を創出している同プロジェクトを中止に追い込むことの損害の大きさを主張している。

AMLO大統領は、コンステレーション・ブランズが水の豊富な別の地域で工場を建設するのであれば積極的に協力する、と語っているが、既に実施済みの投資に対する補償の問題もあるため、双方が合意に達しなければ、現行の北米自由貿易協定(NAFTA)の枠組みにおける国と投資家の間の紛争解決(ISDS)の案件に発展する可能性もある。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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