第1四半期のGDP成長率は前期比マイナス2.0%、3期連続のマイナス成長

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年07月02日

南アフリカ共和国統計局は6月30日、2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(前期比、年率換算、季節調整済み)をマイナス2.0%と発表した(添付資料表1参照)。景気後退局面に入った前期に続いて、3期連続のマイナス成長となった(2020年3月10日記事参照)。

産業別では、鉱業が鉄鉱石やマンガン鉱などの主要鉱物の生産減少により、前期比21.5%減となり、最大のマイナスの寄与度になった。製造業も石油精製、化学品、ゴム、プラスチック製品などの生産減少により、8.5%減となった。一方で、GDPの約2割を占める金融・保険・不動産業・企業サービスが3.7%増と15期以上連続のプラス成長で経済を底支えしたほか、農林水産業も主要穀物や野菜・花卉(かき)、家畜製品の生産増加で27.8%増と急回復した。

需要項目別にみると、需要全体の約6割を占める民間最終消費支出が、食品、非アルコール飲料の消費が好調だったことにより、4期連続プラス成長の0.7%増となった(添付資料表2参照)。一方、総固定資本形成は機械、設備、輸送機器の企業の買い控えにより、20.5%減と大幅に減少した。また、これらの設備投資にかかる輸入も16.7%減と、同様に大幅に減少した。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く南ア(6月30日時点で感染者数累計15万1,209人、前日比6,945人増)では、感染抑制のために3月27日から実施されたナショナル・ロックダウン(2020年3月27日記事参照)が経済に与える影響が甚大で、財務省は6月24日に発表した補正予算案(2020年6月26日記事参照)において、2020年の経済成長率見通しを過去90年で最大の落ち込みとなるマイナス7.1%と予測している。今回の発表は新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響がほぼ反映されていないことから、次期以降は大幅なマイナス成長も見込まれる。現地大手投資銀行インベステックのエコノミスト、ララ・ホデス氏は6月30日のレポートで、当期の発表を受け、2020年のGDP成長率を、財務省の発表より低いマイナス10.1%と予測している。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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