フォーブスが実業界の評価を反映したロシアの大学ランキングを発表

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2020年06月29日

ビジネス誌「フォーブス」ロシア版は6月23日、2020年版のロシアの大学ランキングを発表し、独自の評価に基づいて格付けした上位100校を明らかにした(上位50校は添付資料参照)。今回初めて、企業からの評価がランク付けの基準の1つになり、総合1位を獲得したのは高等経済学院(HSE)だった。

本ランキングは、フォーブス誌ロシア版が2018年から毎年発表しており、今回で3回目。評価軸は3点あり、a.ロシア教育省のデータに基づき、各大学を教師や国際的な活動、統一国家試験(注)のレベルなどで評価する「教育の質」(最大50ポイント)、b.大学ごとの採用実績や現在のポジション、今後採用したい大学などを企業への調査から算出する「卒業生の質」(最大30ポイント)、c.他の国際的な評価や卒業生・在学生の活躍度合いに関する独自評価「フォーブスファクター」(最大20ポイント)のそれぞれを合計して格付けする。特に、「卒業生の質」はロシア大企業59社への調査結果が基になっており、ロシアの実業界からの評価を反映しているといえるだろう。

総合1位を獲得した高等経済学院(HSE)は、モスクワなどに4つのキャンパスを擁する高等教育機関。ビジネススキルを養成するプログラムの提供のほか、コンピュータサイエンスなど他分野の教育も行う。ビジネス支援活動に対する評価が高く、2019年にはスウェーデンのUBIグローバルによる大学発ビジネスアクセラレータの格付けで、HSEは世界1位の評価を得た。

総合2位に入ったモスクワ国立大学は、ロシアで最も名門とされる大学の1つ。今回の調査では、企業からの評価を反映している「卒業生の質」部門では1位となり、総合1位のHSEを上回る結果を出している。英国の大学評価機関クアクラレリ・シモンズ(QS)による最新の世界大学ランキングでは74位にランクインし、ロシアの大学で最も高い評価を得ている(2020年6月16日記事参照)。

総合8位の国立IT機械光学研究大学(ITMO)は、ITやロボット技術の専門家の育成に特化したサンクトペテルブルクに位置する大学。世界的なプログラミングコンテストの優勝者を輩出するなど近年注目を集めているほか、起業・スタートアップ支援にも注力している(2019年6月19日付地域・分析レポート参照)。

写真 総合12位に入ったサンクトペテルブルク国立大学。プーチン大統領の出身大学だ(ジェトロ撮影)

総合12位に入ったサンクトペテルブルク国立大学。プーチン大統領の出身大学だ(ジェトロ撮影)

(注)中等教育機関(高校)の卒業試験および高等教育機関(大学)への進学試験のこと。

(一瀬友太)

(ロシア)

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