QS世界大学ランキングでロシアCIS地域の大学が躍進

(ロシア、カザフスタン、ベラルーシ、ウクライナ、CIS)

欧州ロシアCIS課

2020年06月16日

英国の大学評価機関クアクラレリ・シモンズ(QS)は6月9日、「QS世界大学ランキング2021」(2020年の評価)を発表した。ロシアCIS地域では500位以内にロシア17校、カザフスタン3校、ウクライナ1校、ベラルーシ1校の合計22校がランクインし、順位も軒並み上昇した(添付資料表参照)。

このランキングは、a.学術界での評判、b.雇用市場での評判、c.学生1人当たりの教員数、d.論文引用数、e.外国人教員の割合、f.留学生の割合に基づいて順位付けされている。世界1位は米国のマサチューセッツ工科大で、2012年にランク付けが始まって以降、9回連続で首位となった。2位のスタンフォード大、3位のハーバード大も5回連続で同じ順位をキープしている。4位はカリフォルニア工科大学で2年ぶりに返り咲いた。日本の大学では東京大学(24位)、京都大学(38位)、東京工業大学(56位)、大阪大学(72位)、東北大学(79位)が100位以内に掲載されている。

ロシアの大学では、モスクワ国立大学(74位)を筆頭に、サンクトペテルブルク国立大学(225位)、ノボシビルスク国立大学(228位)、トムスク国立大学(250位)、モスクワ物理工科大学(MIPT)(281位)、モスクワ国立工科大学(282位)、高等経済学院(HSE)(298位)などが前回に比べ軒並み順位を上げ、ウラジオストクに立地する極東連邦大学が初めて500位以内にランクインした。カザフスタン、ウクライナ、ベラルーシなど他のCIS諸国の大学も同様に躍進がみられた。

ロシア政府は2012年以降、著名な世界大学ランキングの上位100位以内にロシアの大学を5校ランクインさせることを目標としたプログラム「プロジェクト5-100」を実施している。対象はQS世界大学ランキング、英「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」誌(THE)が作成する「THE世界大学ランキング」(2019年11月25日記事参照)、中国の上海ランキングコンサルタンシーによる「世界大学学術ランキング(ARWU)」の3つ。

ロシア科学・高等教育省傘下の研究機関ソツィオツェントルのナジェジダ・ポリヒナ所長代行は今回のロシアの躍進について、「『プロジェクト5-100』で設定されている国際競争力向上への大学の取り組みの成果」と評し、「『プロジェクト5-100』に参加している大学は2013年以降に1,800以上の教育プログラムを実施し、このうち半数近くが英国やドイツ、カナダ、中国、イタリア、米国、フィンランド、フランス、日本などの外国の大学・研究機関と共同で行われた」と強調した(「ノーボスチ通信」6月11日)。

(齋藤寛)

(ロシア、カザフスタン、ベラルーシ、ウクライナ、CIS)

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