2020/2021年度予算教書を発表、新型コロナ、バッタ、洪水被害などの課題に対応

(ケニア)

ナイロビ発

2020年06月22日

ケニア財務・計画省のウクル・ヤタニ長官は6月11日、2020/2021年度(2020年7月~2021年6月)の予算教書を国会に提出し、演説を行った。新型コロナウイルスの感染拡大に加え、サバクトビバッタの大量発生や洪水被害などの課題に直面していることを受け、2020年の経済成長率予測を2月時点の6.1%から2.5%に下方修正した。予算教書のテーマには「生活の保障、雇用、ビジネスと産業再生のための経済刺激」を掲げ、課題への対応と経済の立て直しを図る。

予算規模は、既に発表されている2020年税法(改正法)(4月25日承認、2020年5月19日記事参照)や経済刺激策(5月23日発表、2020年5月29日記事参照)を踏まえ、2兆7,904億ケニア・シリング(約2兆7,904億円、Ksh、1Ksh=約1円)とした。ウフル・ケニヤッタ大統領の政策の4本柱である「ビッグ4」(Big Four:製造業の強化、食糧安全保障、ユニバーサル・ヘルスカバレッジ、手ごろな住宅)に総額1,283億Kshを充てたが、前年度予算案からは71.5%の大幅な減額となった。その他の喫緊の課題への対応として、(1)投資、成長、雇用の保障(3,147億Ksh)、(2)インフラへの投資(3,247億Ksh)、(3)教育システムの整備(4,977億Ksh)、(4)環境保全・洪水対策・灌漑整備(788億Ksh)、(5)貧困削減・社会保障(884億Ksh)、(6)情報通信技術(ICT)整備(149億Ksh)などを計上した。

歳入では、租税収入を歳入総額の67.8%となる1兆8,926億Kshに設定した。2020年税法(改正法)では、付加価値税を16%から14%に引き下げ、個人・法人所得税を30%から25%に引き下げるなど、新型コロナウイルスの影響からの救済の減税措置を取っているため、租税収入は前年度予算案と比べ約10.6%減額した。不足分は国際援助機関からの支援や国債で補填(ほてん)し、グラント(無償援助など)は前年度予算案に比べ47.4%増の572億Kshとした。財政赤字はGDP比7.5%の8,406億Kshの見通しだ。なお、2019/2020年度の財政赤字はGDP比8.3%の8,427億Kshとなる見込みだ。

また、予算教書の中では、中小企業や失業者救済の文脈で「ケニアで作り、ケニアで買う(Buy Kenya, Build Kenya)」を強調している。既に地産地消が推奨されている政府や国際機関の調達にも、今後さらに影響を及ぼすと考えられる。予算教書は国会の審議を経て、7月1日以降に施行される見込みだ。

(久保唯香)

(ケニア)

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