ケニア、新型コロナ対策で新たな経済刺激策を発表

(ケニア)

ナイロビ発

2020年05月29日

ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は5月23日、新型コロナウイルスに関する7回目の演説を行い、新たな経済刺激策を発表した。4月25日に承認された税法改正(2020年5月19日記事参照)に続く、2回目の具体的な経済政策だ。

ケニアの感染者数累計は23日までに1,192人に達した。ケニヤッタ大統領は、さらなる感染拡大の防止に努めるとしながら、若年者を中心とする失業者の増加や、中小企業の不振などに強い懸念を示した。今回の政策の予算規模は約537億ケニア・シリング(約537億円、Ksh、1Ksh=約1円)で、若年者の雇用促進、現地企業の積極的活用、社会保障を重視した内容となっている(ケニア保健省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ケニア大統領府ツイッター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

本経済刺激策のポイントは以下の8点。

(1)道路・インフラ修繕、都市再開発(予算規模:154億1,000万Ksh)

若年者を雇用し、都市部で消毒活動などを実施する。現地の労働力を活用して道路や橋の修繕を行う。

(2)教育アウトカムの改善(65億Ksh)

現地企業を活用し、教育設備(教室など)、乾燥・半乾燥地帯の寄宿舎の再建や、学習机25万台を生産する。教育環境の改善と雇用促進のため、新たに教師1万人を採用、公立学校にデジタルラーニングの支援要員としてインターンを1,000人登用する。

(3)中小企業支援(130億Ksh)

現地中小企業に対する付加価値税(VAT)還付や未払金解消を迅速に実現する。中小企業のための信用保証スキームを運用するため、シードキャピタル(少額資本)を提供する。

(4)健康・社会保障の改善(27億3,000万Ksh)

新たに資格を持つ医療従事者を雇用する。公立病院での病床数を拡大し、国境や病院に最新の除菌設備を導入する。社会的弱者のキャッシュレス化を支援する。

(5)農業と食糧保障(49億7,000万Ksh)

電子バウチャーシステムを活用し、小規模農家に補助金を提供する。切り花農家の輸出を支援する。

(6)観光(60億Ksh)

ケニア・ワイルドライフ・サービス(KWS)に助成金を提供、人材の登用を支援する。観光金融公社を通じ、ホテル事業者にソフトローンを提供する。

(7)環境、水、衛生の改善(38億2,000万Ksh)

乾燥・半乾燥地帯の水タンク整備、貯水池の修繕などを行う。現地人材を活用し、衛生・環境を整備する。

(8)製造業支援(13億1,000万Ksh)

公的機関は率先して現地で組み立てた車を購入する。

(久保唯香)

(ケニア)

ビジネス短信 7e7cfbb474396156