米ニューヨーク州全域で経済再開、北東部で再開の動き進む

(米国)

ニューヨーク発

2020年06月10日

米国ニューヨーク市が予定どおり6月8日、経済再開の第1段階を始動した(2020年6月1日記事参照)。ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(民主党)は州を10地域に分け、7つの基準を満たせば経済再開の第1段階への移行を認めているが(注1)、同市の第1段階への移行により、ニューヨーク州全域で経済が再開した。ペンシルベニア州も5日に、全ての郡が再開の第1段階以降に踏み込んだ。地域ごとの再開方針を取っていたこれら2州全域で再開が始動したことで、北東部全域が経済を再開したことになる。

ニューヨーク州は全米で最も新型コロナウイルス感染による被害を受け、8日時点の州のデータによると、死亡者の累計は2万4,000人を超えており、感染者数も約38万人となっている。しかし、ここ最近は死者数、感染者数ともに低位で推移している。

州と市は再開に伴い、交通インフラの改善などの取り組みを発表している。クオモ知事は8日、新型コロナウイルスの感染拡大によって利用者数が減っている期間を利用して、ニューヨーク都市交通局(MTA)が20億ドル規模の鉄道インフラの改修事業を加速させると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。市も同日、再開に伴う安全対策の一環として、交通バス向けの専用レーンの確保・拡充を行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

他方、ニューヨーク州内では、ミネアポリスで発生した警官による黒人男性殺害事件を受けたデモが連日行われており、参加者間での新型コロナウイルスの新規感染が懸念されている。州はそうした懸念に対応すべく、検査所を拡充し、デモ参加者に受診を呼び掛け外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますている。

ペンシルベニア州のトム・ウルフ知事(民主党)は6月5日、州内全67郡が再開の第1段階に当たる「黄」、もしくは第2段階に当たる「緑」に移行したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。12日には新たに12郡が「緑」に移行し、合計で46郡となる予定。「緑」の段階では例えば、飲食業やジムなどの屋内サービス業が収容人数の50%以下などの条件の下で営業再開が可能となる。

ニュージャージー州のフィル・マーフィー知事(民主党)は6月9日、再開の第2段階への移行が15日に迫っていることから、外出禁止令を解除すると発表した。ただし、外出時には引き続き顔を覆って社会的距離を保つよう州民に呼びかけた。第2段階の詳細は6月1日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、数週間に分けて営業再開が許可される業種を指定している。例えば、15日には飲食店での屋外飲食や非エッセンシャルの小売業が、22日には理髪店が再開可能となる。

(注1)米国主要州の経済再開計画の概要については、北米における新型コロナウイルス対応状況のページを参照。

(注2)在ニューヨーク日本総領事館の「各州の措置等外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のページにも、事業者が講じるべき措置などに関する情報が掲載されている。

(磯部真一)

(米国)

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