マニラ首都圏の隔離措置が緩和されず、セブ市は最も厳格な規制に引き戻し

(フィリピン)

マニラ発

2020年06月18日

フィリピン政府は6月15日、マニラ首都圏が6月16日から6月30日まで一般的隔離措置(GCQ)の対象地域にとどまると発表した。同首都圏は6月1日付けで修正広域隔離措置(MECQ)からGCQに移行(2020年6月2日記事参照)し、6月16日以降はさらに規制が緩和される修正一般的隔離措置(MGCQ)に移行することも検討されていた。しかし、今回、マニラ首都圏における新型コロナウイルスの感染拡大傾向が依然として止まらない状況を踏まえた決定がなされた〔詳細はフィリピンにおけるコミュニティ 隔離措置の最新状況(6月16日更新)参照〕。

6月15日までGCQの対象地域とされていたセブ市は、6月16日から6月30日まで最も厳格な広域隔離措置(ECQ)の対象地域に引き戻された。ロケ大統領報道官はセブ市をECQに引き戻した理由について、感染者数の増加傾向だけでなく、集中治療室の空き状況なども鑑みたうえで決定したとした。

フィリピン政府は3月中旬以降、外出禁止令や公共交通機関の停止といった厳格な隔離措置を発動してきた。その上で、5月中旬から地域ごとに段階的に緩和してきた。しかし、6月16日時点の新型コロナウイルスの感染者数は全国で2万6,781人、死者数は1,103人、回復者数は6,552人であり、1日当たりの感染者数は364人、1日当たりの死者数は5人。特に1日当たり感染者数に鈍化傾向がみられず、状況は改善していない。

他国と比較しても長い期間にわたって発動している隔離措置は国内経済に相当な負荷を与え、フィリピンの第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前年同期比でマイナス0.2%と、21年ぶりのマイナス成長を記録した(2020年5月14日記事参照)。ドゥテルテ大統領は、ソーシャル・ディスタンスやマスクの着用、手洗いといった基本的な感染予防策を徹底しつつ、国内経済の回復に向けて段階的に規制を緩和する必要があるとしている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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