ジェトロ、「大規模社会制限(PSBB)下での日系企業動向」と題したウェブセミナーを実施

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年06月08日

ジェトロは5月27日、「大規模社会制限(PSBB)下での日系企業動向」と題したウェブセミナーを開催した。講師は同事務所のプラットフォームコーディネーターも務めるフジスタッフインドネシアの加来文子氏で、同社が5月14~19日に実施したアンケート(回答数86社)の結果を基に、現地日系企業動向や保健プロトコル(2020年5月29日記事参照)などに関して解説を行った。

このアンケートでは、「現在の状況が続いた場合、会社経営をどの程度維持できるか」という質問に対し、「1~3カ月以内」との回答が53%で最多となり、新規受注や売り上げが減少する中で、各社の厳しいキャッシュフローの現状が明らかになった。また、事業継続に向けて行っている対策としては、製造業、非製造業ともに「人員整理、新規採用停止」(32社)が最多、次いで、金融機関からの借り入れ(26社)が多く挙がった。なお、インドネシアでは合理化に伴う解雇は違憲とされており、合法的な雇用関係の終了としては、金銭条件などを考慮した早期退職に限られている(2020年5月1日記事参照)。また、PSBB解除後にもリモートワークを継続するか聞いたところ、「一部のみ実施」との回答が26%で最も多い。次いで「事前申請があれば可能とする」が22%となっており、約半数の企業が今後も部分的な実施も含め、継続的にリモートワークを実施するようだ。

今回のウェブセミナー実施後、ジェトロは参加者206人にアンケートを送付し、115社(製造業57社、非製造業58社)から回答を得た。「従業員・労働組合と賃金減額交渉を行うか」という質問に対し(添付資料図1参照)、「交渉を行う」と回答したのは25社(製造業16社、非製造業9社)と全体の22%にとどまった。日系企業からは「従業員と賃金交渉を行うため、会社の経営状態を説明したが、交渉のテーブルに着いてくれない」(製造業)という声が聞かれた。「交渉を行わない」とした企業の中には、交渉したくてもできない企業が含まれると推測される。また、交渉を行った企業に賃金減額の程度を聞いたところ(添付資料図2参照)、「1~20%減額」が12社(製造業8社、非製造業4社)、「21~40%減額」が7社(製造業5社、非製造業2社)、「40%以上減額」が2社(製造業1社、非製造業1社)などという結果になった。

(上野渉、シファ・ファウジア)

(インドネシア)

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