2019年の対内直接投資は前年比10.7%増の90億ドルでアフリカ最大

(エジプト)

カイロ発

2020年06月24日

国連貿易開発会議(UNCTAD)の世界投資報告(6月16日発表)によると、2019年のエジプトの対内直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は90億1,000万ドルとなり、前年に続きアフリカで最大だった(2020年6月19日記事参照)。アフリカ2位の南アフリカ共和国の46億ドルに比べて約2倍となった。世界全体の直接投資額は1兆5,399億ドルで前年比3.0%増と小幅な増加、アフリカ全体では450億ドルで10.3%減少した中、エジプトでは10.7%の増加になった。UNCTADは、2020年のアフリカへの直接投資が新型コロナウイルスの影響により、25~40%減少すると予測する(2020年6月19日記事参照)。エジプトにおいても、2020年のIMFの経済成長率予測は2.0%と経済活動が停滞する見込みで、ハーラ・サイード計画・経済開発相は2020年の投資は減少するとの予測を述べている(2020年5月18日記事参照)。

エジプト中央銀行によると、2019年のエジプトへの投資は英国が68億3,000万ドルで最大で、構成比38.9%を占め、前年比38.1%増と大きな伸びを示している。以下、ベルギー(22億3,000万ドル)、米国(13億7,000万ドル)、アラブ首長国連邦(13億6,000万ドル)、オランダ(9億5,000万ドル)の順で投資が多い(添付資料表参照)。近年注目されている地中海沖の天然ガス分野にイタリア企業が投資しており、7位のイタリアは2.8倍と大幅な増加になった。外交上の対立により国交断絶中のカタールも経済の結びつきはあり、8位となっている。日本からの投資は49.6%増の6,000万ドルだった。地域別の構成比では、EUが64.2%、アラブ諸国が19.3%と多く、2つの地域でエジプトへの投資額の83.5%を占める。対内直接投資の流出額は32.2%増加したが、流入額も20.2%増加したため、ネットでは10.7%の増加となった。

(井澤壌士)

(エジプト)

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