IMF、新型コロナウイルスの影響で経済成長率を2%に下方修正、27億ドル緊急支援を承認

(エジプト)

カイロ発

2020年05月18日

IMFは4月15日に新型コロナウイルス感染の影響をふまえた中東・中央アジアの経済予測を公表し、エジプトの2020年のGDP成長率を5.8%から2.0%に下方修正した。中東・北アフリカ諸国は軒並みマイナス成長と予測しているが、エジプトはプラス成長の予測だった。

ハーラ・サイード計画・経済開発相は現地メディアに対し、2020/21年度は経済成長減速、物価の上昇、失業率の悪化、投資は減少すると予測を述べている。エジプト中央動員統計局によると、新型コロナウイルス感染拡大前の失業率は7.9%(2019年)だった。また、感染拡大後の2020年4月の消費者物価上昇率(対前年同月比)は5.8%となっている。外貨準備高は3月以降、減少傾向にある(2020年5月13日記事参照)。他方で、米国格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)はBで安定、ムーディーズはB2で安定と、エジプトの信用格付けを維持している。

IMFが27億ドルの緊急支援、EBRDが民間企業支援

エジプトではアラブの春以降に経済が悪化したため、2016年11月にIMFから120億ドルの支援を受け経済改革を開始しており、IMFによると2019年のGDP成長率は5.6%で、経済改革は順調に進んでいた。政府は新型コロナウイルス感染による影響の危機下においても経済改革を引き続き推進するため、4月末にIMFへ追加の財政支援を要請し、IMFは5月11日に27億ドルの緊急支援を承認した。政府は新型コロナウイルス感染による影響の危機以降、1,000億エジプト・ポンドの予算措置で貧困層や企業向けの経済支援策を実施している(2020年4月7日記事参照)。

現地報道によると、欧州復興開発銀行(EBRD)は、エジプトの銀行5行などに8億5,000万ドルの融資を承認しており、銀行を通じて中小企業や貿易業への融資につなげる考えだ。近年、EBRDにとって国別ではエジプトが最大の投資先となっており、エジプト民間企業へさらなる支援の可能性も示唆した。

(井澤壌士)

(エジプト)

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