メキシコ市、活動再開に向けた指針改定、報告義務を明確化

(メキシコ)

メキシコ発

2020年06月16日

メキシコ市政府は6月12日夕に発行した市官報で、5月29日付官報で公示した経済社会活動再開に向けた段階的計画の実施に向けた指針(2020年6月1日記事参照)を改定した。今回の改定は、クラウディア・シェインバウム市長が同日発表したオレンジ色の新型コロナウイルス感染警戒信号の下での活動再開計画(2020年6月16日記事参照)の内容に合わせたものだ。

企業経営者にとって重要な内容としては、新型コロナウイルス感染が疑われる労働者を発見した場合の報告義務の明確化と、従業員が30人以上の事業所に対する検査の実施義務がある。報告義務については、改定指針第11条BISにより、従業員の出社時の体温検査や問診の際に、(1)高熱、(2)せき、(3)疲労、(4)筋肉痛・関節痛、(5)のどの痛み、(6)下痢、(7)眼の炎症、(8)頭痛、(9)聴覚・味覚の喪失、(10)鼻水、(11)眠気・だるさといった症状のうち2つ以上が見られた場合、あるいは呼吸困難の症状がある場合に、事業所の責任者はメキシコ市コールセンター(LOCATEL、TEL;55-5658-1111)に電話し、コールセンター職員の指示に従わなければならない。また、コールセンター職員や専用サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどを通じて感染しているかどうかの自己診断を行い、感染が疑われる従業員と濃厚接触があった従業員には自宅待機を命じる必要がある。

30人以上の事業所に企業負担で従業員の検査義務

改定指針第10条TERは、従業員が30人以上の事業所の責任者に対し、企業の経費負担で毎週、あるいは2週間に1度、最低でも従業員の5%に相当する労働者について、新型コロナウイルスに感染しているかどうかの検査を受けさせる義務を定めている。事業所での活動の特性に応じて、従業員の間に1.5メートル以上の距離を確保できる事業所については2週間に1度、1.5メートルの距離が確保できない事業所については毎週、検査を実施する必要がある。工場の製造ラインなどで、同じシフトで一緒に働く労働者はグループとして検査を受けさせることも可能だ。ただし、検査は全ての労働者に対して実施し、1人でも感染が確定したら同じグループは全員自宅待機となる。事業所の責任者は、検査を受けた日と検査結果が確定した日にLOCATELに電話連絡する義務がある。また、検査実施後に各労働者が前述の自己診断を行う必要がある。

ジェトロがメキシコ市衛生保護庁(APS)に電話で確認したところ、上記5%の検査義務を果たすための検査はPCR検査に限定せず、連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)が承認した検査であれば、どんな検査でも構わないとのこと。ただし、簡易検査を実施した場合、検査結果や自己診断結果により感染が疑われる労働者については、PCR検査の実施を再度求められる可能性があるという。

(中畑貴雄)

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