メキシコ市がオレンジ信号に向けた段階的移行策を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2020年06月16日

メキシコ市のクラウディア・シェインバウム市長は6月12日、ここ数週間の病床利用率の安定を受け、同市の新型コロナウイルス感染警戒信号が6月22日以降にオレンジ色になると推定し、それに備えた移行措置をとることを発表した。市長は、電話やSMSによる感染疑義者の通報・案内システムの導入や検査能力の拡大により、感染確定者や接触者の特定、感染が疑われる人々の自宅待機要請が適時に効率的に実施できているため、同移行措置の導入が可能になったとしている。しかし、感染者が再び増加傾向となり、病床利用率が上昇する事態になれば、同移行措置は停止し、赤信号の下での規制が継続されることになる。

発表された移行措置は以下のとおり。

  • 6月15日:車両通行規制など市内交通規制(2020年4月23日記事参照)の終了
  • 6月16日:「不可欠な活動」以外の製造業の再開(月~木のみ、週休3日)
  • 6月18日:街角商店(従業員5人未満の小売・卸売業)の再開
  • 6月19日:専門・科学・技術サービス業の再開
  • 6月22日:青空市場・公設市場の再開
  • 6月23日:歴史地区の閉鎖終了
  • 6月24日:ホテル(宿泊客30%まで)、レストラン(収容人数40%まで)の再開
  • 6月25日:ショッピングセンター、百貨店の再開(双方とも収容人数30%まで)
  • 6月28日:宗教施設(収容人数50%まで)の再開

再開される活動に関する衛生指針は、メキシコ市の衛生指針専用サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

従業員30人以上の事業所に従業員の検査を義務付け

今回の発表の中では、信号の色に関わらない衛生対策として、全ての経済活動における10の原則が発表された。(1)マスクなどの個人保護器具を着用すること、(2)共有スペース、ドアや机など表面の清掃と除菌、(3)1.5メートル以上の健全な距離確保と手洗い・アルコール除菌の励行、(4)自然換気の活用、(5)移動方向や立ち位置、座り位置などの表示、(6)時差通勤や出勤日をずらす措置の導入、(7)感染症に脆弱(ぜいじゃく)な労働者の自宅待機、(8)出勤時の体温測定や問診の実施と新型コロナが疑わしい症状が2つ以上ある従業員の自宅待機要請および当局への通知義務、(9)従業員30人以上の事業所における従業員の検査実施と当局への報告、(10)感染者および濃厚接触者の14日間の自宅待機、である。

注目されるのは(9)で、毎週全体の5%に相当する従業員に検査を受けさせ、同結果を市当局コールセンター(LOCATEL、TEL:55-5658-1111)に報告させるというものだ。詳細は衛生指針専用サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されるようだが、検査費用を誰が負担するのか、検査の種類、検査を受けられる場所などについての情報は6月14日時点で公表されていない。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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