ベトナムが医療用マスク輸出制限を解除、ライセンス不要に

(ベトナム)

ホーチミン発

2020年05月11日

ベトナム政府は4月29日、国会決議60/NQ-CPを発し、医療用マスクは輸出ライセンスなしで自由に輸出できるようになった。同決議に伴い、国内需要を満たすため、輸出を制限してきた2月28日付決議20/NQ-CP(2020年3月11日4月1日記事参照)は廃止された。

60/NQ-CPによると、輸出企業は要請に応じて、ベトナム国内の医療機関に対して医療用マスクを販売することが求められるが、それ以外の輸出条件(数量などの制限)は設けられておらず、通常の手続きで輸出できる(注1)。また、ベトナム保健省および商工省は国内の医療用マスクの製造者およびその製造能力を、ベトナム財務省は輸出者および輸出量を、それぞれ公表することとなっている。

医療用マスクの取引価格や品質の面で問題が生じないよう、対策もとられる。商工省は原材料の不当な値上げ、マスク買い占め、規格を満たさない製品の製造を監視・防止し、厳しく取り締まる。各省・市の人民委員会は保健当局などに指示し、医療用マスクの品質維持の検査を行う。今後の国内需要への対応に関しては、国内での感染の状況に応じて、保健省が適切な管理措置を首相に報告し、決定する。

多くの国々で新型コロナウイルスの感染が拡大し、マスクの需要が高まる中、ベトナム政府は、これまで医療用以外のマスク(フェイスマスクや抗菌ニットマスクなど)の輸出を奨励するとともに(2020年4月13日記事参照)、日本を含む数カ国に対し、医療用マスクを寄贈するなど、国際社会に貢献してきた(注2)。今回、医療用マスクの輸出が自由に行えるようになり、ベトナムはマスクの供給国として、一層大きな役割を果たすことが期待される。

(注1)税関内では通知2848/TCHQ-GSHQ(輸出ライセンス適用廃止)が出され、輸出を受け付けている。

(注2)ベトナム政府は4月16日、医療用マスク5万枚および10万ドル相当の医療物資を日本政府に寄贈した(在ベトナム日本大使館ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。日本各地の医療施設で活用される見込み。

(小林亜紀、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム)

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