ロシアの自立式サービスロボット最大手「プロモボット」、ウラジオストクに生産・開発拠点を設置

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年04月14日

極東ハイテク基金(注1)は4月10日、ロシアの自立式サービスロボット製造最大手プロモボットによるウラジオストクでの開発・生産拠点設置と人工知能技術開発に向け2億ルーブル(約2億8,000万円、1ルーブル=約1.4円)を投資すると発表した。

今回の投資は2019年6月にサンクトペテルブルク国際経済フォーラムにて締結した趣意書に基づくもの。プロモボットは、同社のヒューマノイドロボット(注2)「ロボC」の容姿部品を一部製造するほか、小さな皴(しわ)を含む人間の皮膚を正確に似せるためのポリマー実験を含む、外見分野の研究開発を行うとしている。さらに、人工知能を用いた、人間と遜色(そんしょく)ない会話システムやサービスロボットの応用範囲の拡充にも用いるとしている。

プロモボットは2015年にペルミ地方で設立されたロボティクス分野を代表するロシアのスタートアップ企業で、スコルコボイノベーションセンターの入居企業。同社のアンドロイド(注3)ロボットは、銀行、博物館、店舗、公共施設、住宅、商業施設などにおいて、コンサルタント、アドミニストレーター、プロモーター、ガイド、コンシェルジュとして従業員をサポートするほか、従業員に代わるかたちで活用されている。モスクワでは、地下鉄やロシア現代史博物館、最大手銀行ズベルバンク店舗などに設置されている。最近では、遠隔での体温測定をはじめとする新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止作業にも活用されている。

写真 プロモボットのサービスロボット(ジェトロ撮影)

プロモボットのサービスロボット(ジェトロ撮影)

海外展開にも積極的で、売り上げの65%が海外市場での販売だ。これまで38カ国542台のロボットを納入しており、例えば、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイモールや米国ボルチモア・ワシントン空港などに活用されている。2019年9月には、スイスの代理店を通じて、2024年までに約1,000台を供給する大型契約を締結した(2019年10月1日記事参照)。日本市場開拓にも関心を持っており、2019年10月に東京で開催された国際エレクトロニクス・IT見本市「CEATEC JAPAN 2019」にロシアパビリオンの枠内で出展している(2019年10月24日記事参照)。

(注1)極東・北極圏開発基金、ロシアベンチャー会社(RVK)、ロスナノの3社で設立された、ロシア極東でのハイテク技術の開発・生産プロジェクトを支援する公的ファンド。基金規模は50億ルーブル。

(注2)人体に似せて作られた体型のロボット。

(注3)人間に似たロボットのこと(ただし、人間のような外見をしていないもの)。

(齋藤寛)

(ロシア)

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