ロシアのアンドロイドロボット「プロモボット」、欧州市場に1,000台輸出へ

(ロシア、スイス、EU)

欧州ロシアCIS課

2019年10月01日

ロシア最大規模の自律式サービスロボットメーカーのプロモボット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(PB)は9月24日、スイスのアドバンスト・ロボティクス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(AR、注1)と、EU域内でのPBのロボット販売に関する総代理店契約を締結したと発表した。PBは2019~2024年の間に、欧州に約1,000台のロボットを輸出する計画。契約総額は1,850万ユーロに上る。

プロモボットは2015年にペルミ地方で創設されたスタートアップ企業で、スコルコボイノベーションセンターの入居企業の資格を有する。同社のアンドロイド(注2)ロボットは、銀行、博物館、店舗、公共施設、住宅、商業施設などにおいて、コンサルタント、アドミニストレーター、プロモーター、ガイド、コンシェルジュとして、従業員をサポートするほか、従業員に代わるかたちで活用されている。モスクワでは、地下鉄やロシア現代史博物館、最大手銀行ズベルバンク店舗などに設置されている。

今回の総代理店契約では、最低購入量が義務付けられている。総代理店のステータスを維持するためには、ARは2019年に50万ユーロ以上、2024年までに500万ユーロ以上を購入しなければならないと規定されており、義務が果たせない場合、ARは契約書に基づき、規定額を返済する必要がある。第1段階では、2019~2020年の間に、サービスセンターとオフィスをルーマニア、ドイツ、オーストリアに開設する予定としている。

プロモボット創業者兼CEO(最高経営責任者)のアレクセイ・ユジャコフ氏は、今回の総代理店契約締結について、「独占的販売権を付与しなければ、当社はエンドユーザーを知ることができず、パートナーとは未来を描けない。独占的販売権は、契約上の義務にすぎないが、われわれにとっては重要」と述べた。加えて、現在、ペルミのテクノーパーク「モリオン・デジタル」で、組み立て作業が行われている生産体制を、現地の消費者の要望に応じて、ロボットを迅速にカスタマイズするために、欧州に生産プロセスの一部を移管する可能性を検討しているとした。PBはペルミ地方で、ロボット向けの言語認識システム、ナビゲーション、メカトロニクス、人工知能(AI)などの開発も行っており、部材の80%はロシア製のようだ。

ARのガブリエル・ガントナーCEOは「PBのロボットは市場における最先端のサービスロボットで、大きな潜在性を有する」と評した。同氏は、今後5年以内に、ロボットが従業員をサポートする場面が増えるとの見方を示し、欧州のコワーキング施設やビジネスセンター、小売事業者、空港と、既に交渉を開始していると述べた。

(注1)ARは、スイスのザンクトガレン州ウズウィルに本社を置く、オフィス、小売店などのサービス事業に適用可能なAIベースのサービスロボットを開発する企業。

(注2)人間に似たロボットのこと。

(齋藤寛)

(ロシア、スイス、EU)

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