2019年のウクライナGDP成長率は3.2%

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2020年04月01日

ウクライナ統計局は3月20日、2019年のGDP成長率を3.2%と発表した。名目GDPは3兆9,746億フリブニャ(約15兆1,035億円、UAH、1UAH=約3.8円)で、1人当たりGDPは9万4,570UAH。GDP成長率は2018年より0.2ポイント減速したものの、3%台を維持した(図参照)。

図 ウクライナGDP成長率の推移

ウクライナ中央銀行は、2019年のGDP成長の牽引役に消費と投資を挙げた。2019年の家計の最終消費支出が11.9%増と大幅増になった要因として、賃金や年金の大幅な増加、良好な消費者心理とインフレの鈍化を挙げた。投資に関しては、総固定資本形成が14.2%増加していることに触れ、企業の財務状況の改善やインフラプロジェクトが積極的に実施されたことを増加の要因として挙げた。貿易(財・サービス)は輸出が6.7%増、輸入が6.3%増とどちらもプラス成長だった。輸入の伸びが輸出に比べて小さかったことで、純輸出のマイナスが縮小し、GDP成長率の押し上げに寄与した。

世界銀行は2020年1月時点で、2020年のGDP成長率を3.7%、2021年、2022年を4.2%と、さらなる成長の加速を予想していた。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による世界経済の停滞や、感染拡大防止のための対抗措置導入など(2020年3月17日記事3月18日記事参照)を受けて、3月30日にウクライナ閣僚会議は2020年のマクロ経済予測を修正した。2020年のGDP成長率は、3.7%からマイナス3.9%に大幅に下方修正された。同予測では、失業率予測が8.1%から9.4%に引き上げられたほか、実質賃金が0.3%減少すること、UAH安が進むことなどが予測されている。なお同予測は、経済成長率が2020年後半から回復し、その後数年は経済成長が加速するとしている。

(楢橋広基)

(ウクライナ)

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