中銀が政策金利を50ベーシスポイント引き下げ、6.00%に

(メキシコ)

メキシコ発

2020年04月23日

メキシコ中央銀行は4月21日、銀行間翌日物金利の誘導水準(政策金利)を50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げて6.00%とした。直近では先月3月20日に同じく50ペーシスポイントの緊急利下げを実施している(2020年3月23日記事参照)。

中銀は利下げの理由として(21日付プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)による世界経済・金融市場への影響とそれに伴う原油価格の急落を挙げている。また、こうした状況を踏まえ、先進国と新興国の中銀の多くが利下げなど緩和的な金融政策を講じていることも指摘している。さらに、複数の大手格付け会社がメキシコの長期国債格付けやメキシコ石油公社(PEMEX)の格付けを引き下げたことも(2020年4月20日記事参照)、利下げ理由の一つだとした。なお、今回の利下げは理事会メンバー5人の満場一致で決定されている。

中銀はプレスリリースの中で、パンデミックのメキシコ経済への影響について全体的な規模と期間は未だ不明としつつも、現時点の推定では2020年上半期のGDPは前年同期比で5%以上減少する可能性があるとしている。インフレ率(消費者物価上昇率)の見通しについては、デフレギャップの拡大と短期的にはエネルギー価格の低下(特にガソリン)の2点が押し下げ要因になり得るとした。通貨下落のインフレ率への影響についてはその規模と期間にも依るとしており、インフレリスクの不確実性は高まっているとしながらも、中銀の目標上限である年率4.0%以内に収まると予測した。

2020年のインフレ率については、1月は年率3.24%、2月は同3.7%、3月は同3.25%となっている。3月のインフレ低下の主要因は国際的な油価の暴落によるものだが、ペソの対ドル為替レート(期中平均)は2月の1ドル=18.84ペソから3月には同22.20ペソに大幅に切り下がっているため、今後、消費財、生産財問わず輸入物価の上昇を通じてインフレ圧力が強まることが懸念される。消費者物価に先行する生産者物価の動向をみると、3月の生産者物価上昇率(年率)は2月時点の1.54%から3.72%に上昇している。

(中井健太)

(メキシコ)

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