中銀が0.5ポイントの緊急利下げ、政策金利は6.50%に

(メキシコ)

メキシコ発

2020年03月23日

メキシコ中央銀行は3月20日、銀行間翌日物金利の誘導水準(政策金利)を50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げて6.50%とした。3月26日に予定されていた会合の開催を早めての緊急利下げとなった。

中銀は20日付のプレスリリースで、新型コロナウイルスの急激な感染拡大が世界経済に深刻な影響を与え、各国の金融システムが大きなダメージを受けている中、原油価格の急落、記録的な通貨ペソ安などのリスクに対し、国内金融市場の安定を図るために利下げを決定したと説明している。インフレ率(消費者物価上昇率)の見通しについては、原油をはじめとしたエネルギー価格の低下が押し下げ要因になり得るが、一方で大幅なペソ安による輸入製品価格の上昇も懸念されるため、不透明感が強まったとしている。

インフレ率は2019年6月以降、中銀の目標上限である年率4.0%を下回って推移し、12月には同2.83%と過去50年で2番目に低い水準にまで落ち着いた。しかし、1月は同3.24%、2月は同3.7%と上昇傾向を見せ始めている。ペソの対ドル相場は、3月3日終値の1ドル=19.39ペソから、3月20日には24.25ペソまで急落しており、インフレ圧力が高まる難しい状況下で、利下げ決定に踏み切ったかたちだ。中銀プレスリリースによると、理事会メンバー5人のうち1人は25bpの引き下げにとどめることを求めていた。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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