保健省が新型コロナ対策による操業停止に関する査察結果を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2020年04月17日

保健省は4月15日夕刻の定例記者会見において、4月3~14日の間に実施された新型コロナウイルス感染防止に関する保健省令の順守状況を確認する事業所査察(2020年4月8日記事参照)の結果を発表した。同発表によると、査察を受けた事業所のうち18%は操業継続が「不可欠な活動」(2020年4月1日4月8日記事参照)の事業所、50%は不可欠な活動ではないために操業を停止していた事業所、17%は操業を継続していたが労働査察官の指示に従い停止した事業所、15%が査察官の指示にもかかわらず操業を継続している事業所だ。

保健省のウゴ・ロペス-ガテル予防健康促進担当次官は、査察官の指示にも従わず操業を継続している事業所については、今後、労働査察官が事業所の安全衛生に関する査察報告書を作成し、制裁手続きを開始することを明らかにした。また査察官は保健省と検察に通知し、保健省が事業所の閉鎖を伴う制裁、検察が人命を危険にさらす健康上の害を与えた罪により雇用主に刑罰を科すための調査を開始するとしている。

査察官の指示に従わず操業を継続している業種としては、自動車産業が25.78%、不可欠な商品以外を扱う商業・流通業が21.09%、繊維産業が17.97%、木材産業が9.38%、その他(航空機産業、産業機械、パルプ、たばこ製造、建設など)が25.78%。また、所在州としてはハリスコ、メキシコ州、ミチョアカン、ベラクルス、ナヤリ、プエブラ、メキシコ市、バハカリフォルニア、アグアスカリエンテス、イダルゴ、グアナファト州が挙げられた。

保健一般法、連邦労働法、連邦刑法による制裁の対象に

衛生上の緊急事態下において「不可欠な活動」以外の操業を継続した場合、保健法の第147条違反に問われる可能性が高い。同条は重大な感染症の感染拡大防止に向けた保健省の対策に政府、軍隊、私人が協力する義務を定めており、違反すると、同法第420条に基づき、測定更新基準〔UMA、2020年は86.88ペソ(約390円、1ペソ=約4.5円)〕の2,000~6,000倍の罰金が科される。また、「違反を繰り返して当局への反抗的な態度とみなされた場合」や「違反を3回繰り返した場合」などは、第425条に基づき、事業所が閉鎖となる。

また、雇用主は職場の安全と衛生、危険防止の責任を負うという連邦労働法第475BIS条の違反に問われる可能性もあり、同法第994条に基づき、UMAの250~5,000倍の罰金が科されうる。さらに、検察の調査により、雇用主が感染可能性を知りながら他人を感染の危険にさらしたと判断される場合、連邦刑法第199条BISに基づき、3日~3年の禁錮および40日分の収入に相当する罰金が科される可能性がある。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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