全世界からの渡航制限など、政府、自治体などが新型コロナウイルス対応措置を矢継ぎ早に発表

(タイ)

バンコク発

2020年03月25日

タイ保健省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、3月23日現在の国内での新型コロナウイルスの感染者数は721人と、前日比122人増加したと発表した。感染者数は、21日に前日比188人増加しており、過去2日間でバンコクを中心に急増している。こうした状況を踏まえ、タイ政府、自治体などが矢継ぎ早に対応措置を発表している。

3月22日以降、非感染証明、10万ドル以上の保険付保要件を全世界からの渡航者対象に拡大

タイ運輸省傘下のタイ民間航空公社は3月19日、感染危険国・拡大国(日本は特定都市)からの渡航者のみを対象としていた、非感染証明や10万ドル以上の保険付保を求める入国規制措置を、全世界からの渡航者に拡大した新たなガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発出した。同ガイドラインは22日のタイ時間午前0時(日本時間2時)から有効となっている。なお、ガイドラインのポイントは前回のものとは変更ない(2020年3月19日記事参照)。(参考:健康証明書フォーマット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

また、タイ内務省は3月20日、国境の出入国に関する国境施設の一時的停止に関する通達を発出した。通達内容は、(1)全ての一時的国境地点・特別国境地点(住民用のもの)の停止、(2)国際国境地点の一時的停止の2点で、(1)については各県で必要に応じ、1カ所のみ人の通行を行ってよい地点を定められるとしている。なお、対象となるのは主に人の移動で、貨物輸送については新型コロナウイルスのスクリーニングを受けることを条件に、トラック1台あたり乗員2名(ドライバーおよび補助員)まで認められている。新型コロナウイルスの感染状況が悪化する場合には、それぞれの県知事は国際国境地点の閉鎖を命令しなければならないとされている。

かかる通達を受け、ムクダハン県、ターク県、サケオ県などの国境付近に位置する県の知事は一斉に通達を発出している。

タイ中銀、臨時の金融政策委員会で2カ月連続の政策金利引き下げを決定

タイ中央銀行は3月20日、緊急の金融政策委員会を開催し、政策金利を1.00%から0.75%に引き下げた(全会一致)。中銀は2月にも過去最低水準への利下げを決定したが、新型コロナウイルスの影響が深刻さを増す中、さらなる経済の下支えが必要と判断し、利下げに踏み切った。なお、緊急金融政策委員会の開催は2003年以来(詳細については中銀の声明を参照)。

事実、経済活動について、影響が出ている。バンコク都は3月21日、3月22日から4月12日までの期間、感染が拡大する新型コロナウイルスへの対応として、多くの人が集まる施設の一時的閉鎖を布告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3月17日の閣議決定を踏まえ、バンコク都が同日に発出していた布告を上書きするもの。対象となる施設は、(1)レストラン(テイクアウトや空港区域内のものを除く)、(2)ショッピングセンター(建物内のスーパーマーケット、薬、生活必需品販売店、テイクアウトができるレストランを除く)、(3)美容室・理髪店、(4)展示場、会議場、(5)教育施設・学習塾、(6)ゴルフ場・練習場、(7)各種遊技場、(8)プール、(9)映画館、劇場、ボクシングスタジアム、闘鶏場など。

また、タイ内務省は21日夜、バンコク近隣県(ノンタブリ県、ナコンパトム県、パトゥムタニ県、サムットプラカーン県)についてもバンコク都と同様の措置を実施する旨を発表している。

(蒲田亮平、岡本泰、デゥアンパニッチ・チュティマ、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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