スイス商工会議所、インドネシアのインダストリー4.0実現に協力

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年03月05日

在インドネシアのスイス商工会議所(SwissCham Indonesia外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注)は2月27日、ジャカルタで「Indonesia 4.0 An Opportunity for Transformation」と題したセミナーを開催した。インドネシア政府とスイス企業が互いのベストプラクティスなどを共有し、インドネシアでインダストリー4.0をどのように進めていくかの場を立ち上げることを目的とする。

スイス企業がインダストリー4.0に関する取り組みを紹介するパネルディスカッションでは、食品・飲料メーカーのネスレインドネシアのダルネシュ・ゴードン社長が「当地では人件費が近年高騰しているが、製造工程に新しい技術を導入し、効率化を図っている」と話した。また、製薬会社ロシュインドネシアのアイトゥ・アラ・メジャリ所長は「糖尿病患者の血液を遠隔で監視することができる機器を開発することで、血液検査のために患者が病院に通う必要がなくなった」と自社技術を紹介した。

インドネシアの人材育成についても議論が行われた。チューリヒ保険インドネシアのハサン・カリム最高経営責任者(CEO)は「インドネシアの地方大学と連携し、学生にイノベーションの重要性を認識してもらうことが重要」と述べた。イベントに先駆けてスイス商工会議所Indonesiaが作成したインドネシア政府向けの政策提言ペーパー「Advancing Indonesia 4.0PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」でも、スイスの強みは教育であり、既にインドネシアの複数の職業訓練学校とスイスの民間企業が連携しているとしている。例えば、スイスの重工業メーカーABBは、自身の基金を活用して世界で同社が提携する大学の学生に奨学金を貸与し、さらなる教育の機会を提供している。インドネシアでは、2013年から国内で高い学術水準を有する国立バンドン工科大学と連携している。そのほか、海外の専門家によるインドネシアへの技術移転や、インドネシア人材の海外での技術学習促進を図るべきという意見も出た。

インドネシア政府は2018年4月に「メーキング・インドネシア4.0」をインダストリー4.0実現のロードマップとして策定し、さまざまな施策を行っている(2018年4月12日記事2019年4月25日記事参照)。日本もセミナーや商談会などの開催を通して協力を行っている(2020年2月4日記事参照)。

(注)設立は2018年1月。ネスレやチューリヒ保険など約70社が加盟している。

(シファ・ファウジア、上野渉)

(インドネシア)

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