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原油価格(WTI)が25%以上の暴落、サウジアラビアの増産方針が引き金

(米国)

ヒューストン発

2020年03月10日

3月9日の原油価格(WTI)は終値30.24ドルとなり6日の終値41.28ドルから一気に25%以上暴落した。原因は、サウジアラビアが週末に、現在日量970万バレルの生産量を4月から1,000万バレル以上の水準まで引き上げる方針を示したためだ。

最近の原油価格変動の経緯をまとめると以下のとおり。

  • 2月25日:新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大に伴い、世界規模で原油需要が縮小することが懸念されて、原油価格下落の過程で50ドルを割る(WTI終値49.9ドル/バレル)
  • 3月5日:石油輸出国機構(OPEC)総会で、減産はロシア次第という条件の下、4~6月(第2四半期)に日量100万バレル減産を合意(WTI終値45.90ドル/バレル)
  • 3月6日:OPEC加盟国とそれ以外の主要産油国で構成するOPECプラスは、ロシアが減産に合意しなかったことから協議が決裂(WTI終値41.28ドル/バレル)
  • 3月9日:サウジアラビアの増産方針が伝わり、原油価格は大幅に下落(WTI終値30.24ドル/バレル)

現在のところ、新型コロナウイルスの終息時期が不透明なため、今後の経済活動への深刻な影響や石油需要がさらに減少することが懸念材料になっている。

さらに、米国が気がかりな点は、2014年に原油価格が暴落した際、直前まで財務状態が健全な石油会社(生産者)やサービス企業が多かったが、現在は財務状態があまり健全ではない企業が多いことだ。

特に2018年以降、シェールオイルなどの生産者のうち、生産性や信用力が低い生産者への資金流入が減少しており、2019年には倒産件数が2018年と比較して大幅に増え、現在も倒産の危機に直面している企業が複数ある。

また、サービス企業については、2014年以降のコスト削減を受けて厳しい経営を続けている企業が多く、2019年のウェザーフォード(2019年7月8日記事参照)や2020年のマクダーモット(2020年1月24日記事参照)のような大規模な企業の倒産事例もある。

かつて、サウジアラビアが1985年に増産を決定した際に、原油価格が10ドル台まで落ち込んだことがソビエト連邦の崩壊を招く一因になったとも言われている。今回のサウジアラビアの増産方針がロシアの減産拒否に対するものだとすれば、今後、両国の関係にも注意が必要だ。

今後の原油価格低迷に伴う影響は経済だけでなく、各国の政治や国際問題に波及することが懸念される。

(中川直人)

(米国)

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