米エネルギー系エンジニアリング企業大手、連邦倒産法の適用申請を発表

(米国)

ヒューストン発

2020年01月24日

米国エネルギー関連エンジニアリング大手のマクダーモット・インターナショナル(テキサス州ヒューストン市)は1月21日、同日中に連邦倒産法第11章に基づく再建手続き申し立てを行うと発表した。

同社は、以下の再建手続きを通じて、46億ドル以上の債務を解消し再建を行う。

  • 同社の固定負債の債権者の3分の2以上の支援による財務再建。
  • 約束された信用状および5億ドルの固定負債によるほぼ全ての固定負債の平準化。
  • 1月21日から開始される連邦倒産法第11章のパッケージを通じ、28億1,000万ドルのDIPファイナンス(Debtor-in Possession Finance:民事再生法などの倒産手続き開始後も旧経営陣に経営を任せつつ、新たな資金を提供する金融手法)により再建を実施。
  • 顧客から請け負ったプロジェクトの全オペレーションはシームレスに通常どおり続行。
  • 全てのサプライヤーへの全額支払いを再建計画に規定。
  • ラムス・テクノロジー(Lummus Technology、CB&Iの1部門)をチャテジー・グループおよびローヌ・グループに27億2,500万ドルで売却。

とりわけ注目されるのは、既に受注したプロジェクトの継続的実施と、サプライヤーへの全額支払い予定の旨が明記されていることだ。同社はテキサス州のフリーポートやゴールデンパス、ルイジアナ州のキャメロンなどの天然ガス液化施設を千代田化工建設の米国法人とともに建設している(2019年8月22日記事参照)。

同社の株価は、2018年3月前半までは20ドル台で安定していたものの、米国エンジニアリング大手のシカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン(CB&I)を買収(2017年12月のプレスリリースによれば、買収額は約60億ドル)して以降、とりわけ2018年9月から急激に株価が下落し、11月以降は2019年7月の一部を除いて10ドルを下回っていた。さらに2019年11月以降は、12月の後半を除き1ドルを下回る状態が発生した。

この原因は、同買収およびキャメロンなどの大型プロジェクトにおける損失計上にあるとみられる。

今回の再建手続き申し立てに伴い、10日以内にニューヨーク証券取引所における上場廃止になると見込まれている。

なお、同社のCB&I買収発表以降の経緯は添付資料のとおり。

(中川直人)

(米国)

ビジネス短信 20b9449329b95e07