2019年のGDP成長率(確定値)、建設と鉱業の減退響きマイナス0.1%

(メキシコ)

メキシコ発

2020年03月04日

国立統計地理情報院(INEGI)は2月25日、メキシコの2019年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率(確定値)は前年同期比でマイナス0.5%と発表した。第2四半期(4~6月)から3期連続のマイナス成長となった。通年でもマイナス0.1%で、速報値(2020年2月4日記事参照)から変更なく、10年ぶりのマイナス成長が確定した。

最大の押し下げ要因は建設業の低迷と、鉱業の停滞だ。建設業は政権交代の初年で公共事業の実施が滞ったことなどが影響し、通年で5.0%の大幅減となった(添付資料表1参照)。鉱業も同様に、通年で5.0%減だった。ただし、メキシコの原油生産量は、前政権下においてエネルギー改革に基づき実施された鉱区開放ラウンドで民間企業が落札した鉱区、PEMEXに割り当てられた鉱区で民間企業との共同開発(ファームアウト)が行われている鉱区の産油量増加が貢献し、2019年11月、12月と下げ止まりをみせている(2020年1月27日記事参照)。そのため鉱業は、前期比(季節調整済み)でみると、第3四半期(7~9月)、第4四半期ともにプラスに転じている(添付資料表2参照)。原油価格の上昇に加え、PEMEX以外の企業が開発した鉱区の増産が、2019年後半における鉱業の業況悪化の食い止めたかたちだ。

製造業は、通年で0.3%増と伸び悩んだが、輸送機器製造は、米国自動車市場の停滞がみられた中でも、1.3%増と底堅く成長した。内訳をみると、完成車は0.4%減、自動車部品は0.4%増だった。

GDPの63.6%を占めるサービス業は、通年で0.5%増となった。寄与度は0.28ポイントとなり、2019年の経済を牽引した。特に小売業が2.7%増(寄与度0.24ポイント)と大きく貢献した。そのほか、不動産・賃貸が1.2%増、運輸・郵便・倉庫業が0.8%増、ホテル・レストランが1.0%増、専門サービスが1.5%増だった。

2019年の経済がマイナス成長になったことを受けて、アルトゥーロ・エレーラ大蔵公債相は、連邦政府として経済の減速を憂慮していることを認めながらも、「既に打開策は打っている」と説明。また、「競争入札の前倒し実施、州政府との共同プロジェクトの推進、投資誘致策という3つの経済刺激策を進めている」とし、政府支出についても2020年は「従来のどの年よりも迅速に予算執行を行っている」と強調した(「エル・フィナンシエロ」紙2月26日)。同相はマイナス成長の要因として世界経済の減速の影響を挙げたが、中央銀行が1月20日~29日に民間シンクタンク38機関を対象に行ったアンケートによると、経済成長の阻害要因となり得るものとして、約半数が「国内の政治状況」(51%)を挙げており、その主な内訳は「治安状況」(21%)、「国内政策の不透明さ」(19%)となっている。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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